3370.2016年8月4日(木) 天皇陛下の生前退位のお気持ち

 今朝の朝日新聞一面に先日報道された天皇生前退位に関する記事が掲載されている。これだけ衝撃的な事案に対して、その後メディアの報道は冷め気味でそれほど熱がこもっていない。事柄が事柄だけに、メディアの強引さ、無遠慮な行動が中々とりにくいということは考えられる。

 それでも前記記事によれば、8日天皇陛下がご自分のお気持ちを述べられる場が設けられるようだ。

 最初にこの話題が表沙汰になってから、メディアはもとより政治が腰を引いて積極的な言動をしなかった。月刊「選択」8月号によれば、この事象に最も頭を痛めたのは、保守的な言動をする安倍首相だと指摘されている。あまり触れられたくないアイテムだったらしい。そもそも首相は小泉内閣の官房長官時に「女性・女系天皇容認、長子優先」を柱とする皇室典範改正案を準備していたところへ、秋篠宮紀子さまご懐妊ニュースが報道され、タイミングよく法改正を取り止めた経緯がある。首相には平素より頑固に時代錯誤的な万世一系説を信じ込んでいるきらいがある。従って天皇のお気持ちがどうあろうとも、できるだけ首相自身の旧式制度への拘りに固執する傾向がある。普通なら82歳の高齢に達した天皇が、ご自身の健康上の観点から皇太子へ譲位を考えられたとしたら、お気持ちを斟酌してその方向へ話を進めて問題をクリアするのが、一般的な対応策ではないかと思う。

 果たして8日に天皇はどんな内容のお話しをされるのか、またご自分の本心をどう披歴されるのか分からないが、天皇のお気持ちを汲み取ろうとしない首相の姿勢には天皇を慮る気持ちが希薄なのではないかと疑念を感じざるを得ない。イギリス王室には、過去にエドワード8世が離婚歴のあるアメリカ人女性シンプソン夫人と結婚して退位したトラウマがあるせいでもあるまいが、90歳のエリザベス女王は凛として公式行事を果たされている。だが、他のヨーロッパ諸国の王室は、ほとんど高齢になると王子女に皇位を譲り退位している。生前退位説を忌避しようとする気持ちには、パンドラの箱を開けたくない強い意思と拘りがあるように思える。

 今上天皇には大東亜戦争で亡くなられた人たち、及び遺族に対する哀悼とお悔やみの気持ちが強く、それが度々海外の旧戦地にまで慰霊の旅を続けられる行動に表れている。ところが、安倍首相は天皇陛下のそういうお気持ちとは離れて、憲法改正を目論み、再軍備への道をひたすら歩もうとしている。

 とにかく8日に天皇がどういうお言葉を語られるのか待ちたいと思う。

2016年8月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com