879.2009年10月9日(金) オバマ大統領にノーベル平和賞

 駒沢大学の講習を受けて帰宅したのが、6時過ぎだった。妻が今年のノーベル平和賞受賞者は意外な人に決まったと言ったが、何とアメリカのオバマ大統領だという。6時に発表されたばかりのホットニュースに、ホワイトハウスではまだ明け方5時で公式の発表はない。

 率直に言って大統領就任9ヶ月ではまだ早いのではないかと思った。4月にプラハで核廃絶へ向けて行動しようと世界へ向かってアピールしたのは、確かに強烈なインパクトがあった。核廃絶の流れへ一気に向かうかとの幻想を抱かせたほどである。

 しかし、宣言はしたが、実質的な核廃絶へ向けての動き、況してやその効果のほどはまだ表れているわけではない。核廃絶は確かに人類にとって理想であり、実現したらそれこそノーベル平和賞ものだと思っていた。それが約束手形を発行したようなもので、先を読んだノルウェイのノーベル賞委員会がノーベル平和賞を授与することによって、オバマ大統領に核廃絶への期待を込めてノルマを課したのではないかと考えてしまう。

 街の声を聞いてみると割合好意的で、被爆地の長崎、広島の人は被爆者を含めて概してオバマ大統領のノーベル平和賞受賞を評価しており、核廃絶の方向へオバマ大統領が引っ張っていってくれることを期待しているとのコメントが多かった。折りも折り来月12日にオバマ大統領は初めて来日される。忙しいなどと言わずに、この際広島か、長崎を慰霊に訪れ、そこでもう一度プラハに負けず劣らずの核廃絶のためのラッパを吹いてもらいたいものである。そういう一里塚が最終的に核廃絶を実現することにつながると思う。明日の朝刊に発表されるであろう、オバマ大統領の受賞コメントを聞いてみたいものだ。

 今日駒沢大の「出版の周辺」講義で清田義昭講師が、前回に続いて冤罪を訴えたビデオを見せてくれた。今年毎日放送が制作した作品である。足利事件の冤罪事件と似た福岡・飯塚事件を取り上げたものである。いずれもDNA鑑定が決め手となって犯人を特定する結果となった。しかし、この2つの事件では、一方は被疑者だった菅家さんが免罪とされ名誉を回復しそうだが、他方は被疑者が無罪を主張していたにも拘わらず、死刑が確定し昨年10月に刑が執行された。飯塚事件の弁護団は再審を検討していたが、足利事件のDNA検査が本人のものではないと分かった現在、飯塚事件の被疑者も似たようなDNA検査の結果でもあるので、検察に対して言い知れぬ不信と憤りを感じている。

 DNA鑑定が正確だとの話ばかりが先走り、飯塚事件の被疑者は、DNAの「塩基」と呼ばれるファクターが事件の現場に残された犯人のDNAのそれに似ているというだけで、犯人のものと同じと決め付けられて犯人に仕立て上げられた疑いがある。

 ビデオは専門的で難しいDNA鑑定のシーンも見られたが、制作プロデューサーの最大の狙いと目的は、冤罪をなくすという1点にある。DNAによる証明のほかに、時により警察側に意図的な資料の隠匿が見られることも大きな問題である。いずれにせよ、極めて難しい裁判問題であることを教えられた。果たして始まったばかりの裁判員制度は現状のままで大丈夫だろうか。

2009年10月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com