889.2009年10月19日(月) 歳入不足で2010年度概算予算をどうなるのか?

 どうも新政権の来年度予算策定の取り組み方がおかしい。先日来各省から概算要求を上げさせて集計してみたら、95兆円超だという。今度の内閣の各大臣の政策実行力は、新政権の意を体して積極的に行動し、評判は頗るいい。ただ、欲張り過ぎたマニフェスト公約を実際にどう予算の中に組み込めるか、マニフェストに列記した約束をどう順序をつけて取り入れるか、ということについて党内のコンセンサスが成されていない。各大臣がそれぞれに自省の約束を実施するにしても、もともと充分な財源の裏づけがあるわけではない。その辺りの整合性を、鳩山首相の下できちんとつけるべく議論して、それを受けて予算化するというのが本来のあり方であると思う。

 現状は前年度の当初予算を上回り、その一方で当てにしていた財源のうち、税収が予想以上に少なく40兆円を下回りそうだ。今でさえ歳入は歳出の半分にも満たない。ついに菅直人副首相が今日「税収が40兆円以下なら赤字国債発行も止むを得ない」と発言し出した。新政権がどうも当てに出来ないのは、最初から予算の枠組を固めて、新しい公約も含めて政策の優先順位を決めて予算を決定するという手順を踏んでいないからである。一向にこのアンバランスが解決しない中で、支出ばかりが増えていく。それに対して、仙石由人・行政刷新担当大臣は、あと3兆円は削ると言っているが、数字合わせではなく、もっと基本方針を示してもらいたいものだ。

 昨日寺島実郎氏が、テレビ番組でマニフェストを全部実現するのが良いのかどうかも議論の対象だと言っていた。もちろん実現すべきであろう。だが、財源がない。その場合知恵者の知恵として、一律子ども手当てとして毎月26,000円援助することが、全体的に考えて妥当な話かどうか。高校生への支援費用も一律に補助することが、全体の福祉的観点から考えて筋の通ったものかどうか。他にもっと支援を必要とされる予算の使い方があるのではないか、そういう議論が一向に出てこない。

 決めたものは約束通り実行するというのは、至極理のあるところである。しかし、財源不足はムダの廃止によって生み出すという雲を掴むような話が、現実にはダメになった。それなら、次善の策として行うべきは何か。直ぐに鳩山首相以下政府が対策を講じて、具体案を提示するべきではないか。その場合、どうしても来年度内にマニフェストに盛った公約の実現性が薄いなら、苦しい事情を誠実に国民に説明して次年度以降に繰り越すことも検討して然るべきではないだろうか。

 現状はただおろおろして、手を拱いているように思えてならない。取り返しがつかなくなる前に、率直に国民に詫びて次善の策を提示するべきであろう。このままだと、麻生前政権とそれほど変わり映えのしない政権になる恐れもある。

2009年10月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com