8月20日に行われたアフガニスタン大統領選挙の結果がまだ分からない。タリバンによる選挙妨害や、現職のカルザイ大統領側の不正投票疑惑やらで中々決着がつかない。残るも地獄・退くも地獄の渦中にあるアメリカやEUの働きかけもあり、現職カルザイ大統領の同意を得て、漸く決選投票によって現職と対抗馬であるアブドラ前外相との間で雌雄が決せられることになった大統領選である。
それにしてもアフガンの大統領選挙は現代社会においてまったく奇妙な選挙である。すでに投票から2ヶ月を経過してなお政治空白が続いている。この間テロによる不安材料は増幅される一方である。1ヶ月前に発表された初回選挙の結果は、カルザイ氏が、54.6%の得票率だった。しかし、不正投票とみられた得票を除くと49.6%で過半数にぎりぎりで達しないことが判明して、政権選択は仕切り直しとなった。
政治空白が長引くうえに、パシュトゥン民族出身のカルザイ氏とタジク民族のアブドラ氏の再対決となり、下手をすると民族間の対立に発展する可能性もある。今タリバンによるテロ攻撃に怯えている国民の間に、新たな国内分裂の火種を抱えることになりかねない。
それにしても1日も早く政治体制の確立をしないと、別の社会混乱の芽が表れてくるのではないかと気がかりである。
アフガンばかりでなく、日本国内にも政治的にちょっと首を傾げる事件が起きている。常々郵政民営化の見直しを叫んでいた民主党が勝利を得た勢いで、これに反対して自民党を離れた国民新党代表の亀井静香郵政・金融担当大臣も同調して日本郵政㈱西川善文社長に有無を言わせず罷免すると広言していた。
郵政民営化の見直し論については、どの部分をどのように見直すのかの中身の議論より、粗雑な感情論が先走って一刀両断に小泉改革の見直しという話になっているような気がする。今朝の朝日、日経両紙を読んでも、時計の針を逆に戻すようなことは慎むべきだとの慎重論が書かれている。さらに、ほぼ決まっていた政府が持っている株式放出を当面実行せず、上場化計画を先延ばしするという。
よく分からないが、これによって政府にとって郵貯資金を自由に使える2つ目の財布が出来るのではないか。散々の悪評のうえに、かの大経済学者だった大内兵衛先生に2号の存在のようなものと酷評された「財政投融資」の復活にもつながるのではないかと、その無節操さと拙速ぶりにも驚かされる。
加えて、西川社長の後任に西川氏より年配で「官僚の中の官僚」の元大蔵事務次官、斉藤次郎氏が就任するという、びっくり箱から飛び出すような話である。あれだけ天下りを容認しないと断言していた現政権が、天下りのチャンピョンシップのような舞台を演じている。もう無茶苦茶である。鳩山内閣にはもう少し筋を通して、国民から受け入れられる政治をやってもらいたい。鳩山首相の言動があまりにもぶれて、何を行おうとしているのか分からなくなった。それにしても亀井大臣の強引で、押しの強いやり方を見ていると、周囲への配慮がなく、とても一国の大臣のパフォーマンスとは思えない。あきれ返るばかりである。これでは民主党に愛想がつきて、再び自民党が盛り返すようなことになるのではないか。