遅ればせながら7歳の孫の七五三のお祝いに出かけた。どの神社にお参りしようかと長男も散々悩んでいたが、幸運にも妻の短大時代の親友の実家が近くの多摩川浅間神社なので、急遽お願いして長男一家と神社で待ち合わせした。鳩山首相の自宅に近く、首相就任後幸夫人とともに最初に参拝したところでもあり、川沿いで景色もよくロケーションは抜群である。有難いことに妻の友人と後を継いでいる妹さんのご家族に親切にケアしてもらい、祝詞も上げてもらい滞りなく儀式を済ませることができた。
昨日で各省庁の来年度予算申請額の事業仕分けが一応終了ということになった。初めての作業でもあり、開始前から広く注目を集めていた。平たく言えば民主党国会議員が省庁の予算担当者を相手に申請予算の廃止、見直し、見送り等についてその是非を査定することである。来年度の税収見込みが大幅に落ち込んでいる時でもあり、政府の行政刷新会議としては全体で計上額のうち3兆円程度を削減したいと考えていた。
しかし、昨日までの作業では仕分け効果と云われる削減額は、目標のほぼ半分の1.6兆円だそうだから予算削減というのは思うようには行かない。元々必要だとして計上した予算であり、そう簡単に切れるものでもない。100%の効果はなかったにせよ、過去に予算の中身を公に曝け出し、その必要性を議論するなんてことはこれまであり得なかった。その意味では、今回初めて予算についてどうして必要なのかという点をガラス張りにした成果は数字だけのものではない。
実際政権を手放した谷川秀善・自民党参議院幹事長なぞは、良いことだ、なぜ今まで自民党はこういうことをやらなかったのかと反省しているとまで言っている。従来の自民党政権は、唯一の保守政党と主張してきただけに、前例に倣うということを金科玉条のごとく守り続けてきた。そして、年功序列制を踏襲し、若手の提言や卓見は無視されてきた。仕分け事業なんてことは、少し頭を捻れば考え出せることであり、前例に倣うという後ろ向きの発想さえなければ、自民党政権でも考え出すことは可能だったと思う。
特に数年前から私も会員であるシンクタンク「構想日本」が、地方自治体を対象に、事業仕分けを行っていた。そのことを自民党議員が知らないわけがない。自民党議員の最近の憔悴した姿と発言を聞いていると、むべなるかなとも思う。選挙に負けるべくして負けたのだと思わざるを得ない。
事業仕分けの中で一番難しいのは、現在予算を執行中であるにも関わらず、これを取り止めるかどうか、の問題である。典型的なのは、ダムや道路などの大工事の中止である。中止するか、或いは建設を続行するか、どちらが国民にとって利が多いか、であり、大臣が代わってすぐ「中止」と言うべき筋合いのものでもないと思う。
もうひとつは、科学研究費を申請通り認めるか、或いは却下、または予算削減か、の議論である。仕分け人が世界一のスーパーコンピューターを見直しと下した結論に対して、学者側から猛烈な反対の声が上がったことである。一概に経費査定できる案件とは異なり、科学は進歩しても形のある成果として表れないケースが多い。だからと言ってこの経済低迷の時代に科学研究費だけが聖域であって良い筈もない。この辺りの精査、議論、分析について充分検討されたのだろうか。やはり時間が不足していると考えざるを得ない。
しかし、すっきり分かり易い予算の仕組みになりつつあると思うし、役人の一方的な判断による無駄遣いが少しは見直されるのではないかと今後に期待したいと思う。