雑誌「選択」1月号に「指導者不在のメディア帝国・NHK」という記事が載っている。内容は「ジャーナリズムとは無縁の風土」とか、「『暴走』する素人経営委員たち」とNHKに対する批判に満ちて、NHKにとっては散々であるが、仮に話半分にしても現状のNHKを痛烈にこき下ろしたものだ。指摘されていることの中で、実際少し前から些か首を傾げるパフォーマンスがあったことは事実である。
ひとつは、「坂の上の雲」のあまりにも過度のCM放映を見せつけられ、視聴料をいただきながら、これほどまでに毎日予告編を流す必要があるのかとその神経をおかしいと感じていた。ところが、これはNHK内で今も隠然とした力を持つ海老沢元会長の熱望で作った番組だから、余計事前告知に力を注ぎ、何としても成功させたいのだそうである。これではそもそも番組作りの視点がおかしいのではないか。NHKの職員は上ばかり見ているひらめ職員ばかりと皮肉られているが、その極致となったシーンが海老沢氏の希望により、日露戦争の撮影ではCGは使わず、何万着分もの軍服を実際に作り、巨額の無駄をしていることだという。
2つ目は、福地現会長お気に入りの「プロフェッショナル・仕事の流儀」のキャスターだった脳科学者・茂木健一郎氏が、所得税申告漏れが発覚したにも関わらず、ひらめ職員の間では茂木氏が引き続きキャスターを務めることに一向に疑問の声が上がらなかったことである。昨年この脱税が明るみに出た時、私は本稿で脱税確信犯である茂木氏が、番組から降板しないのはおかしいと疑問を呈した。「選択」によれば、茂木氏の続投については流石に視聴者から怒りの声が寄せられ、降板が決定したとある。
ところがである。昨晩の同番組に、厚顔無恥の茂木健一郎氏は恥も外聞もなく出演し、ご高説をのたまわったのである。降板の真実はどうなっているのか。NHKの恥知らずは言うに及ばず、「選択」の千里眼だって曇ってやしまいか。
これだから、テレビのみならず雑誌を含めて出版物が信用されず、発行部数は減少の一途を辿っているのではあるまいか。ひとりCMに頼らずにいられるNHKだけが、相変わらず愚行により延々と生き延びている。
それにしても、茂木氏なるものが、偶々売れっ子になったからと言って、脱税まで冒していながら性懲りもなく、持論をテレビでぶつような厚かましさは、学者の風上にも置けない。少しは恥を知れと言いたい。こういう欠陥人間をちやほやするから、おかしな奴が広く蔓延るようになったのではないか。