977.2010 年1月15日(金) 中西準子さんが相変わらず頑張っている。

 2冊の出版広告が目についた。1冊は昨日の朝日に載っていた高校の同級生である中西準子さんが書いた「食のリスク学」であり、もう1冊は今朝の朝日に掲載された、「知の現場」で編集仲間が取材した山田真哉氏の「目のつけどころ」で、発売1週間にして4万部が売れたという。

 2冊のうち、中西さんの著書は日本評論社から出されたものだが、この道の専門家らしい紹介のされ方である。「食の安全問題を中西リスク論がさばく!」と推薦文にある。彼女の持論も確たる定説になりつつあるようだ。地味な分野ではあるが、彼女は今や食品衛生問題で世間に警鐘を鳴らし一目置かれる存在になっている。高校入学早々同じクラスだったが、丸々として元気のいい女生徒で成績も良かった。最初の頃生物担当の若い新人男性教師から何人かの生徒に、授業中に好きな歌を余興に唄えと言われたことがあり、私も指名されお馬鹿さん丸出しで津村謙の「上海帰りのリル」を唄ったのに対して、彼女はその当時私がまったく知らなかった「インターナショナルの歌」を力強く独唱したのには度肝を抜かれ、クラスメートがみんな彼女の迫力に圧倒されたことが強く印象に残り、今でも忘れられない。今にして思うと、日本共産党員で、参議院議員だった父・中西功氏のDNAを受け継ぎ、多少左翼がかった傾向があったものと思う。その後横浜国立大学工学部へ進学して、母校と東京工業大学で教授を務め、数年前には国から勲章まで戴いている。その優秀な頭脳と実績には及びもつかず、とても太刀打ちなど出来ない。とにかくその当時から優秀だった。肩書きに「独立行政法人・産業技術総合研究所安全科学研究部門長」という長たらしい職名がついていた。

 それにしてもそろそろ鬼籍に入る同級生も出てきた昨今であるが、こうして溌剌として活躍している友人の近況を仄聞するのも心強く嬉しいものである。

 ニューヨークの9.11テロ以来続けられていたインド洋上における海上自衛隊の給油活動が、今日で活動期限を迎え海上自衛艦は撤収されることになった。すったもんだの末、自民党政府は憲法に抵触する可能性を孕みながら、テロ活動を阻止するためとの大義の下に、8年間に亘ってアメリカの要望に協力してきた。民主党政権発足後、普天間基地移設問題がこじれ、日米同盟がぎくしゃくしている最中に、この給油活動の中止は、また日米間の新たな火種となりかねない。実際ジョン・ルース駐日米大使は、これに代わる国際貢献をどうやってくれるのかと日本政府に強く代償を迫った。確かにアメリカとしては日本がテロ対策のPKO活動から手を引き、アメリカ政府にとっては思い通りにことが進まないことに焦りもあり、約束違反とか、信義に悖るとか、不満たらたらである。

 一方日本サイドでも日米の信頼関係を壊して、今後どうやって日米の絆を再構築出来るのかとの悲観的な論調をアメリカの視点から指摘する声も多い。

 しかし、昨日の朝日朝刊にアメリカのシンクタンク「ニュー・アメリカ・ファンデーション」副代表・スティーブン・クレモンス氏が米外交政策に関する「オバマに離反する同盟国」の中で主張しているように、アメリカの外交政策自体が東西冷戦化時代のままで、世界全体の動向に充分目が配られていないと指摘している。近年になって、かつて世界最強国だった時代に面倒を見てきたとの驕りと感覚から抜け切れず、同盟国である、ドイツ、サウジアラビア、さらに絶対的なシンパだったイスラエルからも反旗を翻えさせられている。日本の民主党には自民党とは別の価値観があり、民主党が明確に過去の対米政策を再検討しているにも拘わらず、アメリカはいつまでも日本はアメリカに従うべきだと考えて、日本の立場に気づいていないと手厳しい。

 クレモンス氏の提言は極めてフェアだと思う。それを読んで思うことは、アメリカには例え政治が行き詰まっても、民主主義の理念とバランス感覚は崩壊していないということである。わが国でも、もう少し民主党の意見を活かしたニュートラルで、公平な見方や考え方がマス・メディアに取り入れられるべきだと思うが、その辺がどうも今ひとつ甘いような気がする。

2010年1月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com