1008.2010年2月15日(月) 普天間基地移設問題に、サイパン移設の妙案

 数日前サイパンのフィティアル知事が来日し、日本政府に対して米軍基地を受け入れたいと表明した。日本政府としては普天間基地の海外移設も検討して、グアム島をその候補に挙げ、北沢防衛相も現地へ可能性を探るため飛んで、グアムの政府関係者とも懇談した。その検証結果はあまり期待を抱かせるものではなく、改めて海外・国内の選択肢を検討する段階にある。このような微妙な時期に、降って湧いたように飛び込んできた、沖縄県民にとっては朗報であった筈である。然るに、このサイパン移設案は、どういうわけか日本国内では歓迎されている様子が見えない。否、真剣に取り合おうとしないのである。

 知事は「アメリカ政府の支援と支持がないと何も出来ないが、北マリアナ諸島の総意として基地の受け入れは、地元の利益になる」「将来は航空、陸上、後方支援の部隊を含む普天間基地のすべての役割を担ってもいい」とまで言っている。更に知事は、日本政府が真剣にアメリカ政府とこの問題を話し合うことを期待すると言っている。

 これに対して、日米両政府は極めて冷静というか、冷ややかなコメントを発表している。平野博文官房長官の如きは、「想定したことはない。全体の検討に入っていない」と応えている。

 では日本政府に聞きたい。ならば日本に、また沖縄にこのまま米軍基地が存在することに賛成するのか、反対するのか。日米安保条約の枠組みだとか、日米同盟とか、抽象論は分かるが、現実問題はどう解決しようとするのか。口を開けば、沖縄住民の意思を尊重し、決断すると言っていたのではなかったか。戦後犠牲と迷惑をかけた沖縄の人びとの気持ちを考えて、沖縄から米軍基地を移転させ、その候補地として海外も検討中と言った。その海外に基地移設候補地が見当たらない現状に、5月末までに普天間移設候補地を決めると言っていた政府は、本音では困りきっていた。それが、渡りに船というか、サイパンが突如進んで候補地に立候補してくれた。まさに願ったり叶ったりではないか。

 しかし、日本政府はその話に一向に食指を示さない。その腹の内はどうなのか。沖縄からもこれをチャンスと捉え、一気にサイパン移設の話が盛り上がるかと思いきや、一向に煮え切らない。マス・メディアしかりである。

 その奥底にある基地問題に関する複雑な腹の内はどうなのか。本音とは一体全体何なのか。 やはり騒音、危険、不安より、現実問題として「金」を断ち切れない問題だろう。沖縄経済の首根っこを押さえているのは、基地経済にどっぷり浸かってしまった社会の仕組みなのではないか。こうなるとこれは沖縄だけの問題ではなく、日本全体の問題でもある。基地経済は60年安保闘争以前から、基地が経済を支えるのっぴきならない社会構造になると懸念されていた。われわれ当時の学生たちはある程度こうなることを予測していた。それゆえに沖縄基地問題を含めて安保条約改定に反対してきた。結果的に今日の普天間移設問題はこの時代に、当時の岸政権によって埋められた地雷が今地上に露出してきたことになる。

 根っこが深い深刻な問題である。それにしても鳩山政権は、5月中にこの問題に結論を出すことが出来るだろうか。最近の様子からぶれる発言を繰り返す首相に思い切った決断が出来るか、疑問である。

 ペンクラブ2月例会が開かれた。今日は寒いせいか集まりがあまり良くなかった。パーティで阿刀田高会長とタージ・マハール近くの「マツキ・ミヤザキ博士通り」についてお話した。ペンの月例会報に「会員短信」欄があるが、阿刀田さんはこれを楽しみにしているそうだ。このマツキ・ミヤザキ博士について次号で書いたので、そのことを伝えたら楽しみにしていると仰っていた。博士についてはご存知なかったが、関心を持ってもらった。

 ちょうど1週間前に亡くなられた立松和平氏の霊に黙祷した。3月奈良でペンクラブは平和祈念のシンポジウムを開催するが、ペンクラブの平和委員会委員長を務めていた立松氏はその責任者だった。平和委員会の委員長に会長から推挙されたのはお名前「和平」がぴったりだと文句なしだったとか。それにしても62歳はあまりにも早過ぎる。心からご冥福をお祈りしたい。  合掌

2010年2月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com