昨日もトヨタ自動車の豊田章男社長が記者会見を行った。これで今月に入ってから3度目である。会見の様子を見ていると、社長はどうもこういう場が得意ではないように思える。それが、リコール問題が表面化しても社長自ら中々公の場へ出てこなかった本当の理由だろう。難しい問題は傍にいる副社長が代わって答えるという質疑では、記者が納得する筈もなく、社長のコメントを求められてやっと応じるというあまりすっきりしない会見となった。
しかし、アメリカの「トヨタ包囲網」を狭める追及は容赦ない。アメリカ運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は、トヨタに15億円近い制裁金を課することを視野に入れているようだし、アメリカ議会も公聴会を開催してトヨタ側責任者の出席を要求することになるかも知れない。
今回このリコール事件で知ったことが2つある。ひとつは、車の動力装置はすべてマシーンによるものだとばっかり思っていたが、必ずしもそうではなく部品のほかにコンピューターソフトによるオペレーションがあるらしい。2つ目は、ブレーキとアクセルの相関関係である。ブレーキをかけてもすぐ作動するわけではなく、アクセルがそのまま作動するケースがあるそうだ。後者の場合は、特にドライバーの感覚が左右して、一概にブレーキが効かないと断定も出来ないらしい。だが、これは車に熟達した人の場合であって、アマチュア・ドライバーにとっては命にかかわる問題である。この疑問をぶつけられた時、トヨタ役員はドライバーの感覚の問題と退けたが、冗談じゃない。こんな「トヨタ感覚」でいるから問題がこじれるのだ。
だが、ほかの日本車だって同じようなオペレーション・システムになっているとするなら、ここは謙虚に利用者の安全のためにはどうしたら良いかという根本的な問題に的を絞って事故の起こらない車を生産して欲しい。
それにしてもアメリカの執拗さには驚くばかりである。かつて1980年代に対米輸出が引き金となった貿易摩擦問題とは背景は違うとは言え、いささかアメリカも異常である。いやアメリカ国内で長年商売をやっていて、その異常さに気がつかないトヨタはもっと異常かも知れない。
一昨日ツタン・カーメンに関してエジプトで驚くべき発表があった。世界的に有名なエジプト考古学庁長官のザヒ博士が世界中から集まったジャーナリストを前に、DNA検査の結果ツタン・カーメンの死因は、これまで噂のあった暗殺などではなく、マラリアに罹った可能性があることを示唆した。また、3体のミイラを公開してそれらはツタン・カーメンの祖母と両親のものだと明かした。ツタン・カーメンと言えば、若くして亡くなった最も神秘的な国王のひとりである。死亡年齢も19歳と発表された。
ロマンとして静かに空想していたことが分かるのも悪くはないが、3300年以上も昔の傷んだミイラを前に、科学的なDNA検査により何でもかんでも明かしてしまうやり方には、あまり賛成出来ない。
ツタン・カーメンのマスクが展示されているカイロ市内のエジプト考古学博物館にも、ツタン・カーメンのマスクが発掘されたルクソールの王家の谷にも訪れたことがあるが、発掘して研究するだけで充分で、1つ1つのミイラの素性まで明かす必要があるのかと考えるのは、来世生まれ変わったら考古学者になろうと夢見ている人間としては探究心不足だろうか。