1013.2010年2月20日(土) 学生運動のミュージカルを観る。

 知り合いの国友よしひろさんからミュージカルに出演する度に案内をいただく。国友さんの所属する「ミュージカル座」結成15周年記念公演「TIME FLIES」が、北千住駅前の「THEATRE 1010」で行われている。1968年の全共闘の運動をテーマに取り上げているようなので、どんなショー構成になるのか興味を持って出かけた。生憎妻は高校時代の友人と姫路城、倉敷、安芸へ旅行中なので、ひとりで出かけた。

 リーマン・ショック以来厳しい就職戦線に見舞われている2人の大学生が、就職活動をやっているが中々思うように行かない。その彼らが幼稚園でウルトラマンになって煙の中に入っていったら、タイムスリップして1968年の大学闘争現場に現れるという設定になっていて、時代的に1968年と現代を往復するストーリーとなっている。最後は大学構内に立てこもった学生が、機動隊によって検挙され、闘争をリードした中心人物が現代になってアフガニスタンでNGO活動に従事し、学生の1人は大学を休学してボランティアでアフガンへ行き、もう1人は父親の建設業を継ぐというシナリオである。

 あの時代について考えさせられたが、それでも68年の全共闘時代、所謂70年安保世代とわれわれが闘った60年安保世代とは一味違う。68年頃から始まった全共闘の闘いは、東大・日大などの学園紛争に、成田空港建設反対闘争、あさま山荘事件、ベトナム反戦運動など拡大させていく過程で昂揚していったが、一方で活動は内ゲバもあって内部分裂しセクトに分かれていった。60年に安保闘争で敗れて安保条約が改定され、条約期限の1970年に第2次安保闘争が盛り上がるものと期待された。しかし、全共闘による70年安保闘争は成熟せず、腰砕けのような格好で終わり、われわれ60年安保を闘ったものとしては、些か拍子抜けだった思い出がある。

 今の若者にはこの時代にあれほどまでに日本の将来を見据えて、目先の利に捉われず、ひたすら平和を希求して真剣に闘った学生たちの気持ちは分からないだろう。確かに時代は大きく変わった。だが、それだけではない。当時の学生たちは、生きることの意味、世界平和、人間の理念等々を真剣に考えていたように思う。

 久しぶりにあの全共闘時代の少し前、60年安保時代を懐かしく思い出した。

 ミュージカルとしては、ミュージカルらしからぬ構成で恋愛もないストーリーだったが、私は充分満足した。しかし、観客の半分以上を占めていた若い女性ファンにとって、恋愛のない舞台は果たして満足のいくものだっただろうか。聞いてみたいような気もする。

2010年2月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com