一昨日インターネット検索最大手のグーグルが、中国本土における検索事業の撤退を表明した。アメリカ政府も中国政府に対して言論の自由を損ないかねない干渉について、今月初以来不満を述べていたが、グーグル側の要望を中国当局が受け入れず、結局グーグルは最大の市場である中国から手を引くことになった。
この動きの中に強気1点張りで自説を押し通す、最近の強圧的な中国的手法が、またもや世界に晒け出され物議を醸すことになった。かつての共産主義とは異なった、中華思想に裏づけされた独善的共産主義思想が暴発した感じである。自国の利益を擁護するために手段を選ばない最近のやり口には、些か辟易するほどだ。近年の凄まじいばかりの経済成長に後押しされて、世界の舞台に踊り出てきた中国の存在感は圧倒的な迫力がある。アフリカ諸国への中国の影響力は恐るべしで、ごく最近ワシントン条約締約国会議において、西大西洋・地中海におけるクロマグロ捕獲禁止を提案したモナコ案を阻止出来たのは、アフリカ諸国を取り込んだ中国の影響力と実績である。アフリカ諸国へ資金貸付と技術援助を与えて発展の土台作りに貢献し、信頼感を勝ち取って資源採掘権等を有利に手に入れている。その注ぎ込んだ資金原資は、元々日本がODA援助として発展途上国扱いだった中国へ供与したものだ。それをアフリカ諸国へ還流させて巧みに利用し自国の存在感を際立たせる、つまり他人の褌で相撲を取ってきた経緯がある。
その中国は世界の覇権を獲得するために、本当の経済力以上に発展途上国支援に熱心で、1月ハイチ地震発生の際は、一番乗りで駆けつけた。だが、功を焦ったのか、直後に事故により救援隊員を2名も死亡させて全員母国へ引き上げさせてしまった。何のための支援活動だったのか。何のことはない。救援活動は2の次で、中米ハイチに橋頭堡を築いてアメリカを牽制するのが当初の狙いだったのだ。中国の目的はミエミエだったのである。他国の危機に乗じて自らの基盤作りに血眼になっている。他国への支援を自国のために利用して行っているのだ。果たしてチリ地震では知る限り、まだただの1人も救援隊員として送られていない。
最近の中国の国際的な活動はあまりにもパフォーマンスのあくが強すぎて、その背後にある隠された魂胆をよく探らないと正確にはその意図が判断出来ない。
グーグル撤退報道に続いて、今朝の朝日では1面に5段記事、9面に4段記事が掲載されたが、新たに中国政府はメディアに対して18分野の報道禁止命令を出したとある。ここまでやるかという思いである。報道規制の対象として、人民元切り上げ、官僚の腐敗、高額な医療費、新彊ウィグルとチベットの騒乱、貧富の格差、警察と暴力団の癒着、大学の自治権拡大、食品安全問題、地価高騰を煽る不動産関係者、等々の好ましからざるアイテムばかりである。中国政府は、こういう国家・国民にとって悪質で悪影響のある事件・事案の外部への報道を許さず、徹底的に国民の目から隠蔽しろと共産党中央宣伝部が公言したのである。国家が国の恥部の報道を禁止しようというのである。中国の正体見たりというのが率直な感想である。これでは何を報道して良いのか分からないと大手新聞関係者も途方に暮れている。
それにしてもいつの間に、中国は国民の発言も自由な情報も許さない独裁、秘密、恐怖国家となってしまったのか。あぁ~胡錦涛はスターリンになったのだろうか。