火山噴火したアイスランドは一昨年来苦しい財政状況が続き、各国から不安げな視線が注がれていた。まだ国家経済が破綻していないが、一歩手前である。噴火は彼の国にとって踏んだり蹴ったりである。一方、同じように債務超過に陥り破綻寸前だったギリシャが、ついに国際通貨基金(IMF)とEUへ支援要請に踏み切った。
パパンドレウ現政権の前政権時代に隠していた巨額の財政赤字が発覚し、一気に財政危機が表面化した。これからギリシャ国民は耐乏生活に耐えていかなければならない。2009年の財政赤字は、実にGDPの12.7%に当たる。
ギリシャでは元々個人収入は低いが、公共サービスが割合行き届いていて、教育費は大学院まですべて無料で、医療費も格別に安いという。それでいて税率が特に高いということはなかった。このアンバランスが財政を圧迫した。
しかし、朝日新聞によれば、問題はむしろ「超巨大な政府」にあったようだ。人口が僅か1,120万人でありながら、公務員が100万人もいて全労働人口の1/4を占める。大学生の就職人気はダントツに公務員がいい。給与や年金などでも仕組みが複雑で、個人事業主は推定年収で税金を徴収するみなし課税を採用するなど好い加減な点も多く、こういう雑駁な点にメスを入れないと抜本的な解決にはならないと思う。借金をしてもその半額が年金支払いに向けられるようでは、財政基盤が固まる筈がない。
パパンドレウ首相からは、前政権から沈みゆく船を引き継いだと恨み節も聞かれるようだが、わが国でも対岸の火災視していられる場合ではない。毎年累積していく財政赤字は、早く手を打たないと早晩第2のギリシャ化しないとも限らない。
情けないことに自分自身のために金稼ぎと名誉欲にはあくせくするくせに、国家のために責任を持ち長期的な視点で財政政策を考え、将来の国家のために禍根を残さないよう配慮するようなまともな政治家と官僚はほとんどいない。