夕刊各紙のトップ記事はすべて、3月の韓国哨戒艦沈没は北朝鮮の魚雷によるものとの韓国政府のコメント掲載である。
今日発表された国際軍民合同調査団の報告書は、韓国哨戒艦の沈没を北朝鮮製の魚雷によるものと結論づけた。かねてから予想されていた通りで、やはりとの印象しかないが、韓国政府の必ず原因を突き止め、犯人を厳しく処罰するとの強い姿勢が国際専門家による慎重な調査となった。韓国を含む5ヶ国の調査団は回収された証拠物品、魚雷の部品などを科学的に調査し、分析した。
北朝鮮による攻撃と結論づけられた根拠は、次の理由による。①回収された魚雷のスクリューの部品は、北朝鮮の魚雷の設計図と大きさや形が合致する。②魚雷後部に発見されたハングルの表記が、韓国が持っている別の北朝鮮製の魚雷の表記方法と一致する。③北朝鮮潜水艦2隻が、哨戒艦沈没の数日前に母港を出て、沈没後に帰還している。
これらの具体的な根拠を否定し、反論するのは至難であろう。これに対して北朝鮮はいつもの通り、早速でっち上げで捏造と真っ向から反発した。更に韓国が制裁措置に踏み切れば、全面戦争を含む強硬措置をとると威嚇的なコメントを発表する一方で、北が派遣する検閲団に物証を見せるよう要求した。
どうも穏やかでない。調査に加わったアメリカは、朝鮮戦争の休戦協定違反だとして「平和への挑戦」と強く非難した。いつものろのろしている鳩山首相も、「韓国を強く支持する。北朝鮮の行動は許し難い」とのコメントを発表した。更に国連安保理で北朝鮮への制裁決議案が提起された場合、日本政府も支持すると述べた。
問題は中国である。毎度きれいごとや、利己的な発言しかしない国としては、今度ばかりは表立って北朝鮮を擁護する言動はしにくいのではないだろうか。遠回しだが、中国政府はこんな発言をしている。「この事件を適切に処理し、朝鮮半島の平和と安定を維持することが、関係各国の人民の共通の願いであり、関係各国の利益に合致する」。自国の利益に絡む事案だと必要以上に動くくせに、不利な立場になると俄然他人事である。これでよくも、他国の交渉に干渉出来るなぁとその神経の図太さには脱帽である。
さて、韓国艦沈没は北朝鮮にとって極めて不利であるにせよ、今後当分の間国際的にも厄介な問題となるだろう。