1114.2010年6月1日(火) ザンジバルのからゆきさん

 今日の多摩美大の講座「都市を美術とともに歩く」は西江雅之講師の「ザンジバル島のStone Townを歩く」という異色のテーマだった。1960年代から世界各地、80カ国以上を歩いて研究された。その中で、ありきたりの国ではなく敢えてunusualな国をターゲットにしてみたと言われた。西江講師は長年早稲田や東京芸大で教えてこられたが、タイトルとしては文化人類学者、言語学者と仰っている。

 小さな島ザンジバルの特異性をいろいろな角度から説明され、多くのスライドを見せてもらったが、その視点と多様性が面白いと感じた。知らなかったことが3点あった。

 ひとつは、アフリカ大陸東海岸の南北帯、スワヒリ民族帯がイスラム文化であるということだった。しかもあまりイスラムの象徴であるミナレスが市街地に見られない。それでも、イスラム文化だと説明された。1968年に訪れたケニアのモンバサ海岸もこのゾーンに入るが、その当時モンバサではほとんどイスラム情緒は感じられなかった。この点を質問したらモンバサにもイスラム教会がたくさんあるということだった。

 他のふたつの話は、ヴァスコ・ダ・ガマが航海に出る80年前に、中国から2万人単位でいかだのような船で中国人がアフリカ東海岸に辿り着いたという新説と、150年前にこの地に大勢の「からゆきさん」がいて、1920年ごろにも10人ほどの「からゆきさん」がいたらしい。彼女たちは、東南アジアに売られて行き、その後どういう事情か、地の果てまで売られていったようである。

 かつてボルネオのサンダカンで、山崎朋子著「サンガカン八番娼館」の主人公だった「からゆきさん」が母国日本に背を向けて建てられたお墓をお参りしたことがあるが、ふっとそんな哀愁を感じさせる話だった。

 それにしてもザンジバルのような小さな島に850の言語があり、700以上の異言語による聖書があるとは驚いた。興味深い講座で西江講師の話も予定の1時間半を大幅に超えてしまった。

 さて、この数日鳩山首相の総理大臣としての力量について外野の声が喧しい。今日は辞職するか、続投かと話題は一気にヒートアップした。来月に控えた参議院選挙を睨んで、今の首相の不支持率では戦えないという参議院議員の切ない声が辞任論を後押ししている。ドン小沢幹事長と輿石参議院議員会長、鳩山首相による3者会談で話し合ったが、今ひとつ踏ん切りが悪く結論は出ない。このままでは反って目前の選挙に悪影響が出るのではないだろうか。

2010年6月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com