民主党政権になってから、とかく話題になっていた第3次事業仕分けが昨日4日間の作業を終えた。今回は無駄の温床とされている「特別会計」の18特別会計・48事業にメスを入れるということから、いよいよ奥の院へ切り込み、無駄を削ってくれると思っていた。だが、残念ながらその願いは虚しかった。
仕分け第3弾は些か期待外れに終り、廃止と判定されたのは、僅か4特会・8事業に留まった。削減額も約250億円でしかない。見直しと判定された40事業で予算の圧縮が出来たとしても、削減総額が精々6千億円前後の見通しだそうである。
改めて事業仕分けの意味について考えてみると、大体永年継続して実行されてきた政策が、無駄が多いからと言って、僅か4日間のうちに事業の可否を判断すること自体に無理があるし、拙速に過ぎると思う。短時間の議論だけで止めさせることには問題が多いのではないか。少なくともなぜこの事業が始められたのか。出来ればその当時の担当者に考えを聞くことぐらいやるべきではないだろうか。特別会計の政策実行について地道に時間をかけて真剣な議論をしようとしないのは、「事業仕分けありき」に意味があり、大向こうに訴えるパフォーマンスでしかなかったのではないかとつい勘ぐってしまう。
普通の国民は、年度の一般会計予算が約90兆円であることぐらいは知っているかも知れない。
しかし、特別会計が176兆円で一般会計の約2倍の予算規模であることなんかほとんど知らないのではないか。しかも驚いたことに、この特別会計の中に隠れ埋蔵金があるとされていたが、逆に隠れ借金が33.6兆円もあると知らされては、目の玉が飛び出さんばかりの驚愕である。国にはこれまで900兆円前後の借金があると知らされてきたが、これに加えて特別会計の借金が33兆円もあるとなるとこれをどうやって返済し、次の世代へ借金を積み残さないためのアイディアはどうしたらよいのか。
仕分けの場の議論を聞いていても、この隠れ借金に関して居合わせた政治家や、各省庁の担当者はまったく責任を感じている様子も、この借金をどう返そうとするのか考えている素振りすら見えない。
学生時代に大内兵衛・法政大学元総長の公開講義を聴講に法政大学へ行ったことがある。その時大内元総長は、政府の財政政策を手厳しく批判していた。特に、財政投融資のあり方について、こんな中身を知らされない巨額の予算をこっそり使っているのは、言葉は酷かったが、本妻に手渡す生活費ではなく、妾に支払う小遣いのようなものだと仰ったのが、強く印象に残っている。
その後財政投融資には大きなメスが入れられ、今では資金運用部からの借り入れが無くなり、全体の額が14兆円足らずと聞いている。その財投の縮減に反比例して特会がゾンビのようにのさばってきた。
民主党は、マニフェストでは一般会計と特別会計を合わせた国の総予算207兆円を全面的に組み替えすることにより、新たな財源16.8兆円を生み出すとしていた。しかし、とてもそれは無理だということが分った。これだけ真剣に事業仕分けをやってもこれ以上の予算削減は難しい、と世間にアピールするための事業仕分けだとするなら、それは本末転倒で、不誠実極まるものだ。
さあ、民主党よ! マニフェストで約束したことをどう実行して期待に応えてくれるのか?