3351.2016年7月16日(土) トルコで軍クーデター鎮圧

 昨日のニースのテロ事件に続いて、今日もまた血なまぐさい事件に驚かされた。現地時間昨夜突如トルコで軍部によるクーデターが発生した。一部の軍人が強権的なエルドアン大統領政権転覆を図り行動に出たようだ。一時国営テレビを通して軍は国の全権を掌握したとする声明を読み上げた。休暇中だった大統領は急ぎ専用機でイスタンブールに向かった。そして、市民らに携帯とメディアを通じて自らは政権の座に留まっており、クーデターを支持する者は高い代償を払うだろうと述べた。更にクーデターの試みは失敗するだろう。与党支持者は路上に出て抗議するようにとも呼びかけた。

 首都アンカラとイスタンブールには、多くの兵士と戦車が現れ、爆発音が鳴り響いて民間人、警察・軍人、並びに反乱軍兵士を含めて194人が死亡したと伝えられている。

 このところエルドアン大統領の独裁姿勢が益々強まっている。かつて10余年に亘って首相を務めたが、それでは飽き足らず、一昨年大統領となって一層権力の拡大に意を注ぎ、更に憲法を改正して権力を強めつつある矢先だった。これが、イスラム教徒と軍部との間で軋轢を強め、軍部には大統領に対する不満が燻っていた。

 明らかに今度軍部内で決起した軍人は、ちょうど80年前にわが国の青年将校が起こした2.26事件とは異なり、若手将校ではなく、思慮分別のある筈の将官、佐官クラスが中心になっていたようだ。

 結局ほんの半日程度でクーデター首謀者は降伏し事態は収まったが、一時は深夜にヘリコプターや戦車を出動するなど、あわや内戦と思わせる場面があった。それでなくともトルコ国内ではイスラム過激派によるテロが頻発し、国民はその恐怖におののいている。テロを撲滅すべき軍部がテロリストと同じようなことをやっているようでは、とても国民は安心できないし、テロリストに益々狙われるようなことにならないだろうか。

 今度の事件では、市民の間にも犠牲者が出たが、反乱軍が外出を禁止したにも拘わらず、市民はそれを無視して彼らの戦車へ近づいてよじ登ったり、反乱軍兵士も市民に対して手荒な行為ができず、結局大統領の望む形でケリがついてしまった。

 今のところ日本ではこれほど危険な事態は起こることはなさそうだが、いつこれに似た事態が起きないとも言えない。とにかく物騒な世の中になったものである。

 このクーデター騒ぎで、今日決まりそうだった世界遺産委員会の今年度登録世界遺産の決定が持ち越され、建築家ル・コルビジェの設計した西洋国立美術館が登録されるのではないかと期待し、準備していた地元の人々をがっかりさせたおまけまでついた。

2016年7月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com