今日財務省が発表した2015年の国際収支速報によると、2015年の我が国の経常収支は16兆6千億円の黒字だった。黒字幅は前年に比べ大幅に増えて6.3倍である。その原因として原油安による貿易赤字の縮小や旅行収支の53年ぶりの黒字転換などが影響し、日本の稼ぐ力が輸出から投資やサービスに移っていることが鮮明になったとコメントしている。
旅行収支の向上という役所のコメントを聞く度に「またか」とか、「まだそんなことを言っているのか」という不条理な思いに捉われて仕方がない。今でこそ外国人訪日客の増加で旅行市場は潤っている。だが、これだって突然神風が吹いたわけではない。ここに至るまで旅行業界は、外貨消費が激しく、貿易で稼いだ貴重な外貨を無駄遣いしていると、役所や外貨を稼いだ大手企業などから冷ややかな視線を浴びながら黙々と日本人の海外旅行をあっせんしてきた。そして時が経ち外国人訪日客が少しずつ増加して、彼らの落とす外貨が増え財政に貢献するに連れ旅行業界に対する陰口は聞かれなくなった。
今日外国人訪日客の増加による旅行収支の黒字は、役所やこれまで外貨を稼いできた大企業ではなく、旅行業界挙げての地道な努力が実を結んだものだということを言っておきたい。2015年の旅行収支の黒字は、1兆1千2百億円である。
一方的な思い込みや思惑だけで語られては困るのである。
折も折、今日は中国で旧正月、つまり春節である。昨今話題になっている中国人観光客の爆買いで今年も随分日本にお金を落としてくれるだろう。これだって旅行業界が長年傾けてきた努力があったのだということを知ってほしいと思う。中国人観光客には日本旅行を楽しみ、その間にショッピングも大いに楽しんでもらいたいものである。