中国の胡錦濤・国家主席が訪米し、ワシントンで盛大な歓迎行事が行われている。すでに晩餐会やら歓迎式典で終始にこやかな胡主席の姿が見られた。その中で胡主席とオバマ大統領の笑顔の中に、相手への牽制球を投げる思惑も垣間見られたのではないかと思う。米中間には依然として大きな壁がある。今では抜き差しならないほど両国の貿易面の相互依存は強い。相互の関係がこじれると困るのは、米中ともに同じである。お互いに少しずつ歩み寄りの姿勢を見せているが、国家としてその頑なな立場を主張するとどうしても対立点が表面化してくる。国際的スタンダードからすると中国の言動は、ほかの民主義国とは異質で受け入れ難い。どうも中国の唯我独尊的な考えを一方的に押し通そうとする強引さには、アメリカですら手を焼きアメリカ政府筋でも中国と距離を置いて考えている議員が多い。
現在最大の対立は、北朝鮮問題の取り組み、中国軍の拡大化、人権抑圧、不公正な貿易取引などだろう。今回の訪米で相互理解と対立解消はどれだけ前進するだろうか。常に国民の目を意識する中国では、胡主席の行動がアメリカ国内のメディアでどう注目されるかに気を配っているようだ。歓迎式典の場には、最高級の歓迎の気持を表すために赤い絨毯を敷き詰めるよう中国政府からホワイトハウスへ事前注文があったと聞く。中国国内での不満を抑え、プライドを誇示するためのメディアと国民を意識したヤラセである。その影響で昨年菅首相との短い会談では、笑いを見せなかった胡主席が今回の訪中では終始にこやかである。そんな田舎芝居はとっくに見透かされているのに、非民主国家の親分、胡錦濤たるもの裸の王様になって茶番を演じている。
胡主席は中国の名門大学として知られる清華大学の出身と聞くが、そもそもこの大学は100年前の辛亥革命が起きた年に、当時のアメリカ政府が知米派を育成するために創立されたものだという。胡主席はその点で知米派のはずである。
時恰も今日発表された2010年の国内総生産(GDP)は、まだ日本のGDPは発表されていないが、中国が経済大国で世界第2位の地位を築いたことは間違いないようだ。近年中国は日米欧とは対照的な高度経済成長を実現している。あくまで予測であるが、2015年には中国は日本を遥かに凌駕して、中国:日本=1:0.6くらいの成長比率になるらしい。どこまで中国は伸びるのか。人口比率が日本の10倍もある国でもあり、1人当たりに換算すれば、まだ日本の方が遥かに豊かだということは言える。しかし、日本だっていつまでも安閑として中国の後塵を拝してはいられない。ここは双方が本音を言わない米中会談の行方をしっかり見守りたいと思っている。