所属する「JAPAN NOW観光情報協会」総会が麹町の海事センタービルで開かれた。例年通り昨年度決算報告と本年度事業報告はシャンシャンシャンとすんなり承認された。例年のごとく行われた基調講演は、国土交通省鉄道局関口幸一次長による「高速鉄道の現状と将来展望」というテーマだった。こういう専門的で、政府の計画に携わっている責任者から直に本音を聞く機会というのはそうざらにあるものではない。関口次長は、細川内閣時代に運輸大臣だった社会党出身の伊藤茂氏の秘書官を務めたが、その辺の事情を当時運輸事務次官だったJN協会松尾理事長が面白おかしく紹介してくれた。関口次長は、久保成人鉄道局長が政府の委員会に呼ばれたために急遽ピンチヒッターとして久保局長のレジュメを抱えて駆けつけてくれたものである。説明の材料を手際良く整理して、丁寧に説明された。新幹線の財政面と新規計画について説明されたが、以前から疑問に思っていた国鉄解散時に旧国鉄から国鉄清算事業団へ引き渡された巨額の負債に関する説明が分りにくかった。
もう一点疑問を感じたのは、JR東海がリニアモーターカーを独自に整備する計画のようだが、総額9兆円強の途方もない予算を投じて、敢えて東海道新幹線をよりスピードアップするだけのための新線を、果たして敷設する必要があるだろうかということである。更に驚いたのは、第1期工事として東京・名古屋間を着工し開業した後に、時間をおいて第2期工事を着工するロードマップは、あまりにものんびりし過ぎているのではないか。付帯意見として大阪までの早期開業のための検討が挙げられているが、それにしても計画自体が完成するのは、今から34年後の実に2045年である。
世界の文化遺産の中には長い年月をかけて完成した建築物などもかなりある。しかし、それらは実用的なものでなく、概して立派で価値あるものに仕上げるために制約もなく長い時間をかけることはある。今ならバルセロナのサグラダ・ファミリア聖教会などがその典型であろう。だが、このリニアモーターカーは、現代社会で役立たなければ意味がないと思う。加えて蒸し返すようだが、新幹線に並行してなぜ新たな超特急を整備する必要があるのだろうかと講演を聴いていて、素朴な疑問を感じた次第である。