3329.2016年6月24日(金) 「英、EU離脱へ」

 上の衝撃的なタイトルは、今夕の朝日、日経両紙の一面最上段にまったく同じように横一列で一文字も違わない大きな見出しである。

 ついにイギリスのEU離脱が決まったのである。昨日行われた国民投票の結果、51.9対48.1という僅差でジョンソン前ロンドン市長が主導する離脱支持派が勝利を勝ち得た。この結果を受け、予想されたことではあったが、即座に英ポンド安と株安が国際的に証券市場を席巻した。東京証券市場でも日経平均株価は、前日比1286円安で15,000円を割った。日経平均の下げ幅としては、ITバブル期の2000年4月以来である。

 この結果を受けて敗れた残留派のキャメロン首相は辞意を表明した。キャメロン首相は辞職を今年10月としているが、EUとの離脱交渉は次期首相が当たるべきであるとしている。実際に離脱するまではそう簡単には行かず、イギリスとEUは約2年間に亘って離脱のための交渉を続けることになる。

 このイギリスのEU離脱は、これからも世界的に大きな影響を与えることが懸念されている。離脱を仄めかしていたフランスの極右政党・国民戦線はルペン党首が勢いづいてフランスでもEU離脱の動きを加速させようとし、イタリアでも離脱の動きが見られる。

 日本にとっても経済的にプラスに働くとは考えられず、早くから安倍首相は離脱に反対する姿勢を明らかにしていた。イギリスにある日立の鉄道車両工場が、ヨーロッパへの輸出の拠点となっていたことから日立はいち早く残留を望むとしていたが、今後の鉄道車両の輸出に障害が生じるのではないかと懸念されている。

 EUは2度に亘る激しい世界大戦で多くの人命を失わせた悲惨な結果を反省し、未来永劫に人類間の慈しみと平和を願って各国間の障害なき人の交流と物量の交易を理想として、1993年にマーストリヒト条約発効を以ってスタートした。加盟国も今では28カ国にまで広がりそれなりの効果は上がったが、残念ながらイギリスの離脱により道半ばにして理想は頓挫することになった。やはり組織が大きくなることは、それが民族、宗教、文化等が異なるだけに余計に難しいことなのだろう。ひとつの理想が潰えた点で、このイギリスの離脱は多くの人々を失望させることになる。折角統合へ一歩踏み出していながらこういう事態になって残念でならない。

2016年6月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com