国会が論戦を戦わせているようだが、今日衆議院行政監視委員会で話題の事業仕分けが行われた。ターゲットは公務員宿舎建設、高速増殖炉「もんじゅ」、独法・原子力安全基盤機構への天下りなどである。元々仕分け導入に貢献したのは政策シンクタンク「構想日本」で、メルマガを通して会員でもある私への仕分け見学の案内があった。関心があったが、昨日も遅くまでセミナーもあることだし、今回は見送ることにした。ところが、今朝「知的生産の技術研究会」八木哲郎会長から電話があり、これから衆議院の事業仕分けを見学に行くという。そういうことなら一緒に見学すれば良かったかなと思ったが、会長は折角霞ヶ関へ行くので、近くの議員会館・森喜朗事務所へ挨拶に行きたいという。先日森元総理に関して書いた拙稿を掲載した「知研フォーラム」を、森事務所に大量部数購入していただいたお礼を伝えたいと言われる。取りあえずその旨を森事務所の長谷川秘書に連絡した。
それにしても八木会長の変わらぬ自己啓発と知的生産ぶりには脱帽である。私より5歳年長だから、78<歳になられるのに、今も前向きに貪欲に学ぼうとしておられる。その意気や大いに見習うべしだと思う。近くに良いお手本がおられるので、若輩者の私だって負けじと頑張る気持ちになる。会長は私にとって良い意味の刺激剤となってくれている。
さて、ヨーロッパの経済危機により、ギリシャ政府はパパンドレウ首相が辞任してパパデモス新内閣が発足した。ギリシャ危機に引っ張られてヨーロッパ第3の大国イタリア経済も怪しくなり、遂に粘りに粘っていたベルルスコーニ首相も辞職せざるを得なくなった。新たに首相になったのは、前任者とは異なり醜聞とは無縁の経済学者のマリオ・モンティ氏である。ヨーロッパ委員会委員を無難にこなしていたが、政治家として実務をどう切り盛りしていけるか。異例なのは、モンティ内閣の閣僚に自分以外に政治家がひとりもいないことである。国家の政治を行うのにプロの政治家が加わらないというのも珍しいし、常識的には考えられない。
モンティ首相の言うことがふるっている。「協議の中で、政治家はいない方がよいという結論に達した。邪魔が入らないからだ」とは、政治家がまったく信用されていないことだ。政治家は邪魔者と見られているのである。
日本でも似たようなものだと思う。政治家よりレベルの高い人たちが決めれば、政治家がいない方が物事はスムーズに進むだろう。政治家が劣化したということだろうか。忘れてしまったマックス・ウェーバーの名著「職業としての政治」を再び読んでみようと思っている。