早くも師走12月である。11月は全国的に平年より気温が高かったが、今日は一転して各地で昨日に比べて2℃から10℃も寒かった。それにしても今年は月日の経過が早いような気がする。事件が多いせいもあろう。何と言っても3月11日東日本大震災の心理面の影響が大きいのではないかと思う。これさえなかったら、もう少し日本も経済の回復が進んでいただろうし、沖縄問題ももっと前進していたのではないかと思う。それより気分的にも寛げてもう少し時間的にもゆとりを感じたことと思う。
その大震災による福島第1原発の事故は、あれから8ヶ月以上も経つのに、未だに収束の見通しがはっきり立たない。そんな折昨日福島第1原発の第1号機内では、溶け落ちた核燃料のすべてが原子炉圧力容器を突き抜けて格納容器に落下して、底に敷かれたコンクリートを、場所によっては65㎝のコンクリートを鋼鉄製の容器の壁から37㎝のところまで侵食したという。えらいことである。
東電はこれまでこの事態を公表して来なかった。年内に冷温停止可能との一部報道だけが流され、時間はかかるがこのまま行けばいずれ収束に向うであろうことを国民に知らせていたのである。それがこの様子だと年内冷温停止も危ぶまれる。
核燃料がコンクリートの中にまで浸透し、65㎝も突き破ったというのは恐ろしいことである。公表ではここに留まっているかのような話だが、まだ更に奥深く沁み通っていることが考えられ、鋼鉄製の容器の壁へ接近することも予想される。
東電の発表を見ていると深刻であっても会社にとって不利な情報は話さず、どうも切羽詰ってニッチモサッチモ行かなくなってから公表しているような印象を受ける。大事故で散々国民に迷惑をかけておきながら、情報隠しもどきをやっている。これでは、到底国民の理解と支持を得られないのではないか。
すでにこの東電福島第1原発は収束されても、すでに廃炉が決定している。東電によれば、その廃炉に支障を来たすともいう。水位計のデータは信頼性に問題があり、事故直後に圧力が急低下した原因も不明で、エネルギー総合工学研究所では、圧力容器の支えが損傷し、傾いている可能性もあると述べている。お先真っ暗なのである。
そのうえ東電のチョンボはこれだけに留まらない。何やらフランスのアレバ社に引っ掻き回されていたことが分かった。昨日の新聞でも報道されていたが、すでに「選択」11月号では「フクシマを食い散らかしたアレバ」と大きく取り上げていた。最初アメリカのキュリオン社製の設備が効果を表さず、来日したサルコジ大統領の圧力があった?のか、救世主を気取ったアレバ社がその後を引き受けた。ところが、これが評判とはえらい違いで期待はずれも甚だしい。アレバ社製除染装置は高レベルの放射性廃棄物を発生させ、この後始末に巨額の費用がかかるとされている。その挙句に東電がアレバ社に支払ったのが60億円と言われている。火事場ドロボーまがいの行為である。火事場に乗り込んでゴミを撒き散らし、札束で平手打ちを食わせて分捕っていくという最悪のパターンでやられっ放しなのだ。
東電には業者の実力とそのレベルを見抜く能力が欠け、言われるがままだった。よくもこんな会社が「大会社」として偉そうに振舞えたものである。所詮親方日の丸で、何をやっても井の中の蛙だったことが分る。