1710.2012年1月18日(水) 東大、秋入学に全面移行か?

 今朝の日経と朝日夕刊の一面トップは、いずれも東大の秋入学への移行記事である。話は前々から出ていたし、早稲田大商学部で実際に一時期実施していたので、それほど驚くほどのことではないが、テレビでも取り上げるほど話題を集めたのはなぜだろうか。

 われわれの感覚では、教育期間というのは桜の時期である4月に入学し、3月に卒業するタームが馴染んでいる。どうして現在の入学時期を敢えて半年も遅らせるのかと言えば、今のままでは日本の大学がグローバルな競争に勝てなくなるからだという。世界の大学の入学期はほとんど9月である。どうしても日本人の学生で欧米への留学を希望する者にとっては、他の秋入学国からやってくる学生より不利であることは間違いない。事実東大自体が世界大学ランクで年々その番付を落としている。その点に危機感を持った東大が、春入学を廃止し、国際標準である秋入学への全面移行を求める中間報告をまとめた。

 さて、こうなると東大の結論はそれで良しとして、東大だけが突出する大学の制度で、制度自体が今後機能するのか。学生を受け入れる企業の立場もいろいろ思惑があってそれぞれの考えがあるようだ。年間春と秋の2度も就職試験を行うのは、企業にとっても負担であるに違いない。ただ、海外への留学生で優秀な学生を採用できると評価する声もある。私が心配するのは、東大だけがこの制度移行で良いのかどうか。下級学校の六三三制度をこのままにして良いのだろうか。また、東大生だけが、4.5年~5年も在学することになり他大学生より1年遅れることになるが、その点はどうなのか。

 どうも理解できないのは、こんな大事なことを実行しようというのに文部科学省の顔が一向に見えないことだ。仮に大学入学時期を半年ずらすだけに留まらない。日本の会計年度というのは、毎年4月に始まり翌年3月に終る。すべてのスケジュールがこの会計年度を基準に実行されている。そうだとするなら、学制のみならず企業の会計年度も含めて、国の会計年度も移行することを検討すべきではないだろうか。現在の状態を見ると、東大だけに宿題を課して文科省は対岸の火災視である。これだけの大きなテーマを扱うのに、国がまったく関与していないのは少々無責任ではないだろうか。この先どんな結論が出るのだろうか。

2012年1月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com