自治体の首長選挙が各地で行われているが、昨日行われた滋賀県大津市長選挙が一躍脚光を浴びることになった。新市長に当選した越直美氏は36歳のうら若き女性弁護士である。滋賀県は嘉田由起子知事と並んで県庁所在地市長も女性が抑えた。女性市長としては一昨年当選した38歳の稲村和美・兵庫県尼崎市長の記録を破る最年少女性市長である。
特筆すべきは、3回目の当選を目指した 70歳の現職候補者を破ったことである。今全国で若い市長が新機軸を打ち出し既成の殻を破って地方行政のトップに選ばれている。橋下徹・大阪市長しかり、熊谷俊人・千葉市長しかり、都庁職員から転じた鈴木直道・夕張市長しかりである。その背景にはマンネリ化や行政の行き詰まりがあり清新な実行力を期待されていると思うが、滋賀県のケースでは嘉田知事が選出された頃から一般住民の切実な声を取り入れる傾向が強まってきた。今度の新市長の場合は、嘉田知事派の取り込みに成功したことが大きいと言われている。
東京から見ると大津は遥か彼方であるが、国政と地方政治を考えてみると3年前に民主党が政権交代を成し遂げた背景には、旧来の自民党への愛想尽かしと新政策を打ち出す民主党の勢いに期待したことが大きかった。だが、実際に政権政党となった民主党は何ら成す術もなく公約したマニフェストの実施を裏切り続け、かつての自民党と同等以下である。国政と地方政治の違いこそあれ、若く期待される新市長が、民主党と同じ轍を踏まなければ良いがと願うと同時に、地方議会に新風を吹き込んでもらいたいとの期待がある。
アメリカの共和党大統領候補予備選挙では、一昨日サウス・カロライナ州で元下院議長・ギングリッジ氏がフロント・ランナーだったロムニー・元マサチューセッツ州知事を退け初めて勝利した。アメリカの大統領選挙の複雑さはこの選挙システムに慣れないと理解しにくいが、その分かりにくいひとつの証が昨日明かされた。
それは1月3日に行われた最初の予備選であるアイオワ州党員大会で15票の僅差でロムニー氏がサントラム元上院議員を破ったと伝えられたが、その直後再調査した結果獲得票はサントラム氏が上回ったと判定され、それこそいとも簡単に最初の結果を覆えし、勝者はロムニー氏からサントラム氏に変更された。アメリカの次期大統領を選ぶための重要な選挙戦でこうも簡単に勝者と敗者の立場が入れ替わるとは驚いた。この結果共和党では3つの州で行われたそれぞれの予備選が三者三様の結果となり、今のところ抜きん出た勝利者がまだ現れていない。どの選挙制度が良いのか、外からでは皆目分らないが、これから11月の本選まで共和党内、そして現職オバマ大統領との決戦投票まで長く熱い戦いが続く。
さて、雪降る夕刻になって気になる外電が入ってきた。先日来緊張が高まっているペルシャ湾入口のホルムズ海峡周辺の雲行きが幾分怪しくなってきた。そのホルムズ海峡を通過するイラン産の原油の禁輸措置を、日本時間今日午後6時にブリュッセルで開かれたEU外相会議で決定した。今のところこれに対するイラン政府の公式見解は発表されていないが、ちょっと不気味である。
国内では、東大地震研究所の平田直教授が、M7級首都直下型地震が勃発する確率は4~5年内に70%と発表した。オイ!オイ!本当かよというのが率直な感想だが、その可能性はこれまで確か30年内に70%と公表されていたように記憶している。5年内ならもう逃げようがない。のんびりしてなぞいられない。可及的速やかに対策を考えないといけない。
大袈裟に言えば、正に内憂外患である。