今日本年度日本ペンクラブ総会が開かれた。定例の議案審議の他に、昨年浅田次郎会長が約束した一昨年の国際ペン東京大会の経理処理の不明瞭さの説明と質疑を行った。東京大会は経理処理が杜撰で大欠損を計上し、昨年から上を下への大騒ぎの末に、調査委員会が設置され聞き取り調査を続けて先日漸く報告書が提出された。その報告書概要版は事前に各会員へ郵送されたが、一読して大組織の経理としてはいかにもお粗末だったとの印象が拭いきれない。はっきり言ってあまりにも酷い。一部に内輪の組織だから穏便に済ませようとの気持ちがあるようで、最終的な結論として、関係者が他人任せにしてチェックを怠り、事務局長と局長代理に一任した形になってしまった。
調査委員会は、三好徹委員長、よく存じ上げている理事・小中陽太郎さんと同じく大原雄さん、ほかにこれも知り合いの藤川鉄馬さんと鈴木康之氏で構成されている。
すべての議事が終わった後、調査委員会が作成した報告書概要版を下敷きに浅田会長が説明した。会長は虚心坦懐に①体制の不備、②財務委員会のような組織を作って財政に明るい人を参加させるべきだった、③不足金分に対して個人的に戻入を検討、④責任者、関係者に懲罰を課すこと、などを率直に述べた。これに須藤甚一郎さんらが責任問題などについて質問した。藤川さんは、郵送された報告書概要版では細部が分からないので、詳細版をインターネットで覗けるよう、提案しろと私に求めたが、須藤さんがまとめて要望を伝えてくれたので、いずれ近い内にはっきりするだろう。
言い方は良くないが、印象的には執行部が敗北宣言した感じである。浅田会長自ら弁済するような気持ちを述べていた。この発言によって、執行部に対する先鋭的な質問は無くなったように思う。いたたまれなかったのか、会員席におられた阿刀田高前会長が立ち上がり、大会開催に努力された関係者を評価され感謝の気持ちを述べ、同時に自分が最高責任者なので、何がしかの費用を弁済することを涙ながらに訴えて同情を買っていた。
大会は間違いなく大成功で、開催に協力した関係者に悪意はない。ただ、大会開催に関する知識があまりにも不足し、担当理事の許可を得ることなくスタッフが独断で処理したことが、大欠損を生み出す結果となり致命的だった。
大体結論は出たが、最終的にはまだ問題は片付いていない。しかし、折角の善意が列記したようなお粗末な対応によって台無しになったことはいくら反省しても反省しきれない。二度とこういう不始末は繰り返して欲しくない。小中さんらの解明のための努力は報われたと言えるかも知れないが、どうも後味の悪さはいつまでも残りそうだ。
せめてペンクラブは金の不始末で内輪揉めしているような噂だけは流されないよう、心して行動したいものだ。