今年の夏も電力不足に悩まされるとの官製事前PRによって、各地で節電ムードが高まり、その中で関西電力地域では大飯原発が再稼動された。この結果消費電力に少しは余裕が出ると期待されたが、あにはからんや電力は充分足りているとの報道がある。昨日の朝日朝刊一面トップに「節電効果、ピークも余裕」の記事が堂々と出ていた。今夏はいつもより暑く心配されたが、何のことはない、電力は足りそうなのだ。狼少年が、電力が足りないと声高に叫ぶのに乗せられ、本当に不足であるかの気持ちにさせて電力不足を煽り、世論を原発再稼動へ誘導する一種の策略なのではないかと勘ぐりたくなる。
中でも電力不足が最も心配された関西電力管内では、大飯原発の再稼動がなければ厳しい状況だったと関電自身が述べているが、西日本全体でトータルすると電力供給力には充分余裕があり、電力会社間で融通し合えば充分足りると言われている。なんだかんだ言っても、原発推進派の言うことには、その裏に原発再稼動の理由を何とか見つけようと考えていることは明白である。
政府が将来のエネルギー政策として原発をどう考えるのか、各地で調査を行っているが、脱原派の勢いが日に日に強くなっている。
討論型世論調査と称して、政府が国の政策をテーマに初めて実施した「2030年の原発割合」について、3回の調査では討論した後に「原発0%」を支持する人が徐々に増え、32%、41%、そして
46.7%へと増加している。これは国民が原発の実態を知ってから、その危険さを知り反対する気になったからではないだろうか。
今日は脱原発を主張して毎週金曜日に国会、首相官邸周辺でデモ行進している市民団体の代表者と、野田首相が官邸で初めて対談し、市民代表は首相に脱原発、廃炉を要求した。それに対して首相は脱原発志向への気持ちはあるというばかりで、僅か30分間の話し合いでは市民代表は納得できる回答は得られなかった。どうも民主党政権内には、原発賛成派と反対派が混在しているようだ。民主党政権は政府としての考えを早くまとめるべきではないだろうか。