6766.2025年11月21日(金) 教育重視なのに国立大授業料2割値上げ?

 昨今自治体の歳出の中で、教育予算が重視され保護者の負担もかなり軽減されているようだ。特に財政豊かな東京都の場合、小中学校では授業料の無償化の他にも、保護者の要望を受けて2024年度から都立学校の給食費が無償化された。この他に都立高校では授業料を実質無償化とした。更に私立高校にも国の就学支援金に加えて、授業料軽減のための助成をして実質無償化を実現している。以前にはとても考えられなかったことである。

 こういう教育費助成傾向の中で、大学にも好影響が現れるかと思いきや、それとはまったく反対の動きがある。それは国立大学の授業料値上げが今年に入って現実となったことである。これは最近の物価高騰や研究・教育コストの増加に対し、国からの運営費交付金が減少していることが背景にある。

 まず、東大が今年度の学部入学者から授業料の20%値上げをすると発表した。本来国立大学の入学金と授業料は文部科学省によって標準額が決められている。前者は28万2千円、後者は53万5800円である。東大は授業料を文科省の標準額上限の64万2960円に値上げすることを決めた。国立大学のリードオフマンである東大が値上げする以前に、すでに2019年度から東京芸術大、東京工業大(現東京科学大)、20年度から東京医科歯科大(現東京科学大)、千葉大、一橋大、24年度からは東京農工大などが、東大の値上げ先取りをして、次々と授業料を20%増の64万2960円に値上げした。私は私立大生だったが、当時の授業料は年3万円だった。卒業してから63年が経ってもちろん社会状況の変化はあるが、随分大きな差が生まれたものだと思う。

 この動きは、26年度以降地方の国立大学に表れ、埼玉大、名古屋工業大、山口大で東大と同額の値上げを決定した。今後も他の地方国立大から同じ動きが出てくると予想される。

 それにしても、高校生以下の教育予算にはかなり思い切って支出しているが、大学にはさほど支援をしていないことがはっきり分かる。

 例えば、国家として教育予算に日本は欧米に比較して果たして多いだろうかと調べてみたら、GDPに占める教育への公的支出の割合は、多い順に挙げれば、フィンランド5.18%、フランス4.52%、OECD国平均4.15%、アメリカ4.12%、そして日本2.9%で、防衛費予算に比べれば遥かに少ない。

 1990年時点では、教育費(文教費)は、4.54兆円で防衛費4.16兆円を上回っていたが、年々その差は狭まり2005年にはほぼ同額となった。以降教育予算が減り続ける中で防衛費は増額される一方で、今年度の政府予算では防衛関係費は過去最大の8兆8千億円に対して、教育予算は5兆6千億円と格差が大きくなった。政府首脳は口では教育重視を言うが、実際には戦禍を及ぼす戦争のための費用「防衛費」の方が大事なのだ。

 堅苦しい話とは別に、今日午前東京ドームで「ミスタ―プロ野球」長嶋茂雄さんのお別れの会が開かれた。今年6月に惜しまれながら旅立たれた。王貞治氏、松井秀喜氏、北大路欣也氏ら多くの著名人が挨拶された。高市首相、大谷翔平選手、イチロー氏らからお別れのメッセージも流された。背番号「3」にちなんで、お花が33,333本も飾られたという。お別れの会の参列者は、着席2,800人、2階席に応募で選ばれた6,800人が見守るなかで、厳粛に行われた。午後には一般の参拝者、2万3千人が訪れた。

 長嶋氏は選手、監督としても素晴らしい実績を残されたが、明るく前向きな性格は生前誰からも好かれていた。晩年は身体に障害を抱えて歩行も大儀そうだったのが、少々お気の毒だった。彼のプレーは何度も見たが、あんな選手はもう2度と現れないのではないだろうか。心よりご冥福をお祈りしたい。       合掌

2025年11月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com