アメリカ大リーグ(MLB)、ナショナル・リーグの今年の最優秀選手(MVP)に予想されていた通り、ワールド・シリーズ(WS)で連覇を遂げたドジャースの大谷翔平選手が、3年連続4回目の受賞者に選ばれた。これまでの受賞は4回ともすべて満票だったというからすごい。4回の受賞は、ジャイアンツなどで活躍したバリー・ボンズの7回に次ぐ歴代2位である。今年の大谷選手は、2年ぶりに二刀流を復活させ、投打両面で大活躍した。また、昨日投手部門の最高の賞であるサイ・ヤング賞も、同じドジャースの山本由伸投手に授賞されるのではないかとの期待感があったが、山本投手が特にめざましい活躍をしたのが、ポスト・シーズンに入ってからだったために、シーズン中の活躍を評価する同賞の受賞者は別の投手に決まった。
それはともかく、これで今年のMLBは漸く幕を降ろした感がする。大谷選手については昔こんな印象に残っているこぼれ話があった。それは、彼のプロ入りを発表した際、高校時代と同じく二刀流でやっていきたいと希望を述べたことに対して、関口宏司会の「サンデー・モーニング」のスポーツ・コーナーに出演した巨人軍OBの張本勲氏が、即座にそれは無理だと言い、投打どちらかに決めて、それがだめになった時にもうひとつの手段を考えるべきで、そんな二刀流のような今どきプロ選手が誰もやらないことをやってみたいというのは、無理だ。それはプロ野球を舐めているとまで言って厳しく非難したことがある。その後日本ハムに入団した大谷選手は、当時の栗山監督から二刀流を認められ、二刀流で活躍して見事に張本氏の鼻を明かした。その後、張本氏が大谷選手についてコメントしたのを聞いたことがない。さぞや面子がつぶれ、恥ずかしく思ったのではないだろうか。それでも並外れた力量の大谷選手がこれほどの大活躍をするとは、誰も想像出来なかったことだろう。
それにしても今シーズンも大谷、山本選手や、新規にシカゴ・カブスに入団した今永投手らを中心に、MLBでも日本人選手の活躍が大分目立った。ドジャースが昨年に続き、ワールド・シリーズ(WS)へ進出したために、日本でもワールド・シリーズの人気が高く、しかもNHKテレビで生中継されたこともあり、視聴率は全7試合とも軒並み高かった。
その高い視聴率は、毎週新聞に公表される前週の高視聴率ベスト20などで知ることが出来るが、先月最終週に行われた第3、4、5戦は、数ある多種多様な番組の中でも、視聴率4位、9位、2位だった。そして最終戦第7戦が行われたのは、11月1日で視聴者は何と2,100万人に上り、日米加の視聴者を合わせると5,100万人が視聴した。これは34年ぶりの高視聴率だったという。ちょうど日本でも日本シリーズ開催中だったが、決着のついた第5戦が漸く20位に顔を覗かせる程度だった。これはこれで収まったが、少し寂しい気がした。このままMLBで日本人選手の活躍が続くなら、来年以降も大リーグ人気は一層高まることだろう。