6751.2025年11月6日(木) ニューヨーク市長に反トランプ氏選出

 昨日行われたニューヨーク市長選で、トランプ大統領が所属する共和党の政敵、民主党のゾーラン・マムダニ氏が当選した。今日大統領は、悔しさまぎれにビジネスフォーラムで民主党はアメリカの最大都市に共産主義者を据えたと述べ、マムダニ氏を徹底的に批判した。更に発言をエスカレートさせ、「今や社会主義者を飛ばして共産主義者だ」とナンセンスな嫌がらせを言って非難している。はっきり言って、トランプ大統領には、社会主義者と共産主義者の違いがあまり分かっていないと思う。大統領、自分と異なる社会政策を富裕層から庶民に向ける政策を主唱する人物を社会主義者と呼び、それが自分とは手の届かないほど極端に外れ、庶民のために行動する人物を共産主義者と呼んでいるだけである。

 今回の市長選では、共和党推薦のカーティス・スリワ氏と、もうひとり事前の選挙でマムダニ氏に敗れて、市長選では無所属で出馬した民主党員、前NY州知事だったアンドリュー・クオモ氏を相手にマムダニ氏は勝利を収めた。選挙直前になって大統領は、事もあろうに政敵・民主党員のクオモ氏を推したが、マムダニ氏に兜を脱ぐことになった。よほど悔しかったのか、トランプ大統領がホワイトハウスにいる限り、アメリカは共産主義化することはないと、自らの信念を貫く決意を語った。

 ただ、マムダニ氏が解決したいと公約に掲げたNYの物価は全米でも異常な高騰をして、例えば、約100万戸50㎡の賃貸住宅の家賃が他の都市では1カ月分約25万円程度だが、NYでは図抜けて高く約62万円といわれている。マムダニ氏は家賃上昇を抑えると公約したことが、庶民層の支持を高めた根拠でもある。

 しかし、若くしてはっきりした物言いは、必ずしも誰からも支持されるというほど甘くはない。実際民主党内でもマムダニ氏と距離を置く党員も目立つようだ。それでも反トランプの影響か、4日ニュージャージー州とバージニア州の2州において、知事選が行われ、いずれも民主党女性候補者が当選した。これら一連の地方選挙の結果を追ってみると、アメリカ国内においていよいよ流れが変わり分断が表れ、それが徐々に大きくなっていくような気がしてならない。来年実施される中間選挙の結果で反トランプ現象がどれほど現れるか気になり、同時に楽しみでもある。

 ところで、日本の高市政権の施政方針はどうだろうか。所信表明では、特に気になったのは、給与を上げるためと人出不足解決の手段として、自らに鞭を打つように「働いて働いて働いて・・・」と絶叫して労働時間の規制緩和を打ち出したことと、現役世代の社会保険料の負担軽減を述べたが、前者については経団連などは歓迎しているようだが、労働団体や過労死自殺をした遺族らからは労働強化につながるとして反発が出ている。またその撥ね返りで70歳以上の基準以上の高齢所得者の医療費の内原則2割負担を3割負担にしたことである。高齢者の医療費はかなり嵩むものである。現役世代の負担軽減は当然検討する必要があるが、そのために同じ福利厚生の予算の中から高齢者のための手当をやりくりするというのは、強引過ぎるのではないだろうか。まるで防衛費の増額を国会の決議もなく、アメリカへの忖度のために国民の考えや、負担を考えずに簡単に決めてしまうのと同じで、あまりにも安易で結論を急ぎ過ぎているように思える。

2025年11月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com