6713.2025年9月29日(月) 異常気象でルーマニアが砂漠化現象

 昨日の新聞でルーマニアのオルテニア地方が、今夏の炎熱地獄により砂漠化現象をもたらし、農作物収穫量が大幅に減ったという記事を読んで、信じられなかった。同時にこのように自然に恵まれたと信じられていた国土も近年の異常気象には、余程の対策を講じないと勝てないものだと痛感している。

 社会主義国家当時のルーマニアを訪れたのは、1981年秋だった。当時のルーマニアは共産党書記長のチャウシェスク大統領夫妻による独裁国家だった。私たち旧文部省教員海外教育視察団は、子息が知事を務めていた地形的にルーマニアのほぼ中心地にあるシビウで3日間教育施設を見学し実習した。ある経済高校で経済学の授業を参観していて、言葉は分からないまでも何となく社会主義経済学を教えているなと分かって、その後ルーマニアという国に関心を抱いたものである。

 偶々今日郵送されてきた「ナショナル・ジオグラフィック」10月号に、かつてのオリンピック体操選手、ナディア・コマネチ選手の現況紹介されている。五輪で5個の金メダルを獲得し、ルーマニアの国花と称せられたが、チャウシェスク社会主義政権が馴染まなかったのか、反革命前の1984年アメリカへ亡命し、今アメリカ人の体操選手だった夫とともにジムで指導している。今年63歳だが、毎日鍛えているせいか体形が整っている。流石だと思う。

1989年そのルーマニアで反革命が起き、大統領夫妻は逃亡を図ったが、捕まり公開の場で銃殺刑に処せられた。残酷な歴史の1頁である。

 その当時、ルーマニアはソ連の指導下に農業国として、成り立っていた。それが今では民主主義国家となってEUの中でも最貧国のひとつとなっている。それは、国家の社会政策至らなかった点もあったのだろうが、異常気候により農業が立ち行かなくなったことが効いているようだ。昨年8月の平均気温は、1991~2020年の30年間平均値より2.9℃も上昇した。ソ連時代の影響で小規模農家が多く、生産性が低いため、気候変動への対応策が乏しいと指摘する専門家もいる。

 オルテニア地方は、乾燥した大陸性気候だったために、2000年以降熱波が急増した。更にソ連時代に進められた大規模伐採の影響が重なり、砂漠化を加速させた。国外へ出る人も多く、30年間に人口が4割減った。若者が街を去り、65歳以上の人口は地方全体の約6割を占めているという。このままだと2050年までに首都ブカレストを含む南部全域が砂漠化すると警告が発せられている。

今アメリカがトランプ政権の自己都合で、パリ協定から離脱して、ヨーロッパの国々は気候温暖化対策に真剣に取り組まなければならない場面に直面している。ヨーロッパは、最も急速に温暖化が進んでおり、産業革命前からの平均気温上昇は2.9℃で、これは世界平均の1.6℃を大きく上回っている。

 現在国内外に分断を試行しているアメリカは、温暖化対策に関してもヨーロッパとは同歩調を取らない。これではいくらヨーロッパの国々が努力しても世界の気温は上昇するばかりである。地球破滅の危機に陥る危険な今日、ここで知恵を結集して何とか解決策を出せないものだろうか。

2025年9月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com