6640.2025年7月18日(金) ほくほくのインバウンド業界と短慮な参政党

 政府観光局の統計によれば、今年1月~6月半年間の外国人訪日客数は大幅に伸びて、2,151万人だった。半年間で2千万人を超えるのは初めてである。昨年の同時期に比較して370万人以上も増え、過去最多となった。これには円安が随分貢献しているようだ。日本では6月は梅雨期でもあり、そのうえ今年は猛暑と豪雨が襲来し、とても外国人観光客が喜ぶような観光シーズンとは言えないが、それでもこの1か月間に日本を訪れた外国人はおよそ337万人で、6月としても過去最多だった。

 国別に観光客を見てみるとやはり近場のアジアの国々から訪れる人が多い。上位10位はすべてアジアの国々からである。1位は韓国からで478余万人、2位は中国から471万余人、3位は台湾で328万余人、以下香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムの順である。

 今や外国人市場、インバウンド業は日本の財政の大きな柱ともなり、かつてインバウンド業がほとんどなく、アウトバウンド業だけだった海外旅行業界は外貨無駄遣いの親玉と皮肉られ、当時の運輸省から海外旅行業界は目の敵のように睨まれていた時期を想うと昔日の感がある。

 因みに、今年4~6月の第1四半期の訪日外国人による総消費額は、2兆5千億円以上もあり、昨年の同期に比較して18%の大幅な伸びであり、第1四半期としては過去最高を記録した。中でも消費額の多かったのは、総額で中国人が全体の20.4%を占めている。次いで、アメリカ人、台湾人が上位を占めている。ひとり当たりの消費支出額に目を向けると欧米からの旅行者が多く、アメリカ人に次いでイギリス人、イタリア人、ドイツ人が上位にいる。

 日本国内には、伝統的な特殊な木造建造物など誇れる世界遺産の古都も多いが、自然も四季それぞれに魅力的な情景を演出してくれる。この日本独自の資産を生かして、これからも国、民間が一体となって「おもてなし」のこころで外国人旅行者を歓迎するなら彼らも益々日本が好きになり旅行客が増え、外貨収入も増えて国の基盤安定に寄与し、世界の国々との交流も実を上げることだろう。

 それにしても外国人観光客歓迎の折も折、一昨日の本ブログにも取り上げたように、明後日に参議院議員選挙の投開票を控えて、参政党が「外国人差別」と誤解されかねない身勝手な「日本人ファースト」を打ち出し、その参政党が選挙で善戦しそうだとの報には頭を考え込んでしまう。こういう安易な公約が、堂々とまかり通るところが気がかりでならない。ネットでも日系三世のペルー人が、外国人を差別するようなことがなければ好いがと話していた。

 ところが、傍若無人の神谷宗幣・参政党代表は、無責任にも「日本人ファースト」は参院選の選挙の間だけのキャッチコピーだとさりげなく語った。選挙の間だけ通用する一時的な言葉で、選挙が終わればそんなことで差別を助長するようなことはしないとも述べているが、どうも発言が軽薄に思える。ことは重大な問題を含んでいると思うが、党代表ともあろう者がそんな認識もなく、こんな安易な考えで好いものだろうか。参政党は、候補者が党の許可もなくロシアの国営通信社「スプートニク社」の取材を受けたような問題もあり、また、代表が応援演説で宮城県の水道事業を県が民営化して外資へ売ったとの発言に対して、事実と異なると村井県知事が怒り、謝罪を求められてもいる。これに対して誤った情報の発信ではないとして謝罪の必要はないと突っぱねて、対立したままである。外国人差別と取られかねないアピールが、地方自治体との対立を呼んでいる状態である。

 どうも参政党には、あまり周囲に気を遣わずに行動する傾向があるようだ。

2025年7月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com