持って回ったような口の利き方をするトランプ流の関税に関する書状を、トランプ大統領が石破首相に宛てて送った。従来の10%の対米輸出関税について有無を言わせず25%に引き上げるというもので、書状では日本が関税政策や、トランプ氏の誤解に基づく貿易障壁のせいでアメリカが大きな対日貿易赤字を抱えることになり、25%の関税ではまだ不十分だと言い日本に対して不満を漏らしている。仮に日本がアメリカに対して関税を引き上げるなら、アメリカはそれに25%を上乗せするという高圧的な要求である。書状の中で韓国と日本は、アメリカの同盟国の中で別格であるようなお世辞を言いながらも、日韓両国に対して容赦なく25%を突き付けている。
日本がこれまでアメリカの要求や言いなりになって貿易外でも大分協力してきたが、その点を配慮することもなく、己の主張を押し付けるばかりである。これは明らかにこれまでアメリカに追随し、賛成出来かねる言動に対しても渋々賛成させられ、それがアメリカにとって大きな救いとなったお陰で、日本は常にアメリカの要求に従ってくれると都合よく考えているようだ。これまでの日本の外交姿勢が問われるところでもある。
この対米関税問題が仮に終結しても、日本を従属国と見てアメリカは今後も次々と「アメリカ・ファースト」の過大な要求を突き付けてくるだろう。その最大の関心事は防衛費である。すでにNATO諸国に無理やり2029年までに国防費のGDP比5%を受け入れさせた。それを日本にも要求する可能性が強い。取り敢えず、防衛費のGDP比3.5%を求めてくるだろう。その後に日本の米軍駐留費の負担増額を申し出てくる。この米軍の費用なんてアメリカ軍の駐留兵士の数を減らせば、済むことである。彼らの戦略上の机上のプランを修正すれば、事足れることである。それを自らは負担せず、増える経費を日本に押し付けようとしている。これは日米安保条約以来、日本政府が日米同盟関係で言うべきことを言わず、アメリカの言い分だけを飲まされてきたからである。
アメリカの臆面もなく図々しいところは、他人のふんどしで相撲と取ろうとする点である。アメリカ政府の対アジア戦略に基づいてアメリカが計画した作戦にかかる経費は、本来ならすべてアメリカが負担すべきである。それを日本の防衛のためであると都合の好いことを言いながら日本に負担を求め、それが漸進的に増額させている。ドイツや、イタリアにおけるアメリカ軍の駐留費用は、日本のそれに比べれば遥かに低額で、制約も少ない。それに比べて日本はアメリカの言いなりにさせられているのである。日米地位協定などという日米平等の考えを言いながら、その実態はアメリカ軍の日本国内における行動はかなり一方的で羽目を外している。特に、基地外の米軍兵士の行動、女性への性暴力問題などで基地周辺の日本人が多くの迷惑を被り、同時に基地からPFASという無色のガスを無断放出され、地域の住民の安全な生活まで脅かしている。
日本政府は、次の土俵では関税問題と切り離して、じっくり日米問題について対等に話し合うべきではないだろうか。現状はあまりにもアメリカ側の言い分を受け入れ過ぎだと思う。今日愚かなトランプ・シンパのネタニヤフ・イスラエル首相が訪米し、トランプ大統領に今年のノーベル平和賞に推薦したと持ち上げたところ、本人ももう平和賞は4,5回もらっても好いくらいだと満更でもないようだった。日本はトランプ氏に対して、我が儘を言わせず、率直に日本人のアメリカ、及びアメリカ人に対する感情、印象を伝えて、対等の日米関係にすべきである。もし、それがだめなら小さなことから日米関係の絆を細めることも考えた方が良いのではないかと思う。
今日も暑い。東京都内では昨日35.6℃を記録して今年初めての猛暑日となったが、今日はそれを凌ぐ35.8℃で連日の猛暑日となった。これもトランプ旋風のせいだろう。