今日が日本経済の仕事始めである。注目の東京証券市場大発会では軒並みに株価が上がり、一時対前日(昨年末)300円を超えた。最終的には対前日293円高の1万688円で引けた。外為市場もアメリカの一時的な「財政の崖」回避が好感され円安が進み、2年5ヶ月ぶりの円安・ドル高水準の1ドル=88円08~10銭を記録した。この影響は国内だけに留まらず、隣国韓国をも痛撃し、実態以上に安かったウォンが高くなり、この先韓国の国内経済の悪化が懸念されている。主に自動車や電機産業のような輸出産業が経済を支えてきた韓国では、ウォン高は輸出産業の業績悪化、更に雇用や消費の低迷につながるとして警戒されている。
中央日報では、ウォン高の要因は「安倍リスク」にあると指摘している。確かにそうかも知れないが、これは言いがかりというものだろう。それより敢えて言うなら、これまで韓国ウォンは少々安すぎたので、ウォンは実態に少し近づいており、今後ウォン高に備えた対策を考えるべきだと言うべきだろう。これまでのウォン安こそが韓国経済を押し上げてきた要因であるということをきちんと受け止めるべきである。ウォン高に修正されることによって韓国経済も正念場を迎えることになるであろう。
それにしても行き詰っていた日本経済の前途に、明るい光が射してきたかの印象を与えるのはなぜか。決して日本経済が復活したわけではない。年末から正月にかけて、アメリカの「財政の崖」危機が何とか遠のいたというだけで、アメリカが復活するのはともかくとして、景気回復への期待感や安倍首相の軽口、風評によって簡単に景気が左右されることはない。これでは、戦後しばらくして「アメリカがくしゃみをすれば、日本が風邪をひく」と言われた現象が、今も厳然として生きているということになるではないか。まだまだ日本経済は力強さを取り戻していることにはならない。
実態が良くなっていないのに、恰も経済が回復したような幻想を与えるのは、こういう空気を作ることによって利するものがいるからである。
外為相場にしても、確かに諸外国、例えば韓国や中国の通貨価値に比べれば、過度に円高であることは間違いない。かといって、いわゆる風評によって価値が上下するというのは問題であるし、おかしいと思う。
利するものとは、製造業より金融・株式業であろう。そんな声に押されることなく、実態経済を強化する知恵を絞るのが本来あるべき姿ではないだろうか。
あまり実態経済について分りもしないのに、書いてしまったが、かつて株式業界によってバブル経済に翻弄されたことを、われわれは充分反省すべきではないだろうか。