2197.2013年5月19日(日) 「侵略」と「村山談話」の意味をどこまで判るか。

 「侵略」に関する定義について、政治家の言いたい放題の気ままな妄言が、昨今国内で国民を惑わせ、海外からも不信、失望と顰蹙を買っている。大変残念なことである。今「戦時では慰安婦は必要だった」との発言で世間を騒がせている橋下徹「日本維新の会」共同代表は、戦時の日本の侵略は侵略であると認めると言ったが、もう1人の共同代表・石原慎太郎氏は、日本は自衛のために戦争を起こしたのであり、国家としての侵略は容認しないと詭弁を弄している。安倍首相は「侵略という定義は学問的にも国際的にも定まっていない」と述べた。だが、「例えどうあろうとも外国の地へ武力を持って無断で乗り込んで行けばそれは侵略であって、それ以外の表現はない」と村山富市・元首相は明確に戦時の日本のアジア進出を「侵略」であると断言している。

 今朝のTBS番組「サンデーモーニング」で、「日本がアジアへ侵略してアジアの人々に迷惑をかけたことについてお詫びして、深く反省する」と1995年8月戦後50周年に当り公表された「村山談話」について、番組準レギュラーの田中秀征・元経企庁長官が説明をつけ加えた。「村山談話」については個人の名で公式表明されたが、それは当時の自民、社会、新党さきがけの内閣が共同で作り上げたもので、それを当時の社会党の村山富市首相が代表して発表したものであると説明したのである。決して村山元首相の個人的な見解だけではなく、3党の合意で所属議員の賛成多数で練り上げられた内容である。

 偶々今朝の日経紙にもその村山氏が、当時の舞台裏を披露している。それによれば、村山談話を出そうと決意した理由は、「過去の反省をしたいと3党で申し合わせて国会決議をしてもらったが、本質は大分ゆがめられた。けじめをつける意味で談話をつくる決意を固めた。首相個人の発言ではなく、内閣で決めて日本政府の方針として明確に示した方がいいと考えたので閣議に決定を諮った。3党連立の申し合わせもあるので満場一致で賛同された」ということだった。

 この言葉から考えれば、当然村山氏と田中氏は個人の資格で談話を発表したのではなく、3党連立政府の立場で発表したものであるとはっきり説明している。それにも拘わらず村山談話について独断的に述べる現職議員にとっては、そんなことはお構いなしである。先の参議院予算委員会で安倍首相が「村山談話は安倍内閣としてそのまま継承しているわけではない」と述べたり、高市早苗・自民党政調会長のように「村山談話は自分としてはしっくりしない」と軽々に言ってみたり、先輩議員らが知恵を寄せ合って合意し発表した「3党談話」を、でき損ないの後輩議員たちがいとも簡単に否定するような発言をする。そして中韓からのみならず、アメリカからも歴史認識の点で手厳しく非難される。苦労もせず、勉強もしない輩はこれだから困る。

 今朝の朝日新聞「天声人語」の最後の一節がいい。「判断力も持たなければ品位も欠く。そんな政治家に日本の将来は託せない。危なくて仕方がない」。まったくその通りである。

2013年5月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com