今日から今年度も後半に入った。午後開かれた衆参両議院本会議で石破茂・新自民党総裁が総理大臣に選出された。指名投票では、衆参両院とも石破氏が与党の勢力図通り、過半数を獲得した。早速組閣に当たり、今夜晴れて石破内閣がスタートした。総裁選前に約束した公約がやや後退したきらいがあり、今後首相として言い出したことを翻すようなことだけは金輪際慎まなければいけない。
ついては、下半期に入るや否や値上げラッシュである。電気、ガス、ガソリン、食料品、珍しいものとしては札幌市内を走る市電料金等々がある。中でも気になるのは、住宅ローンと郵便料金の値上げである。住宅ローンの値上げは、金融機関金利の引き上げに伴うものである。住宅ローンを支払っている人にとっては、ローン金利の引き上げは頭痛の種であろう。今年3月と7月に日銀が金融緩和策から転換して17年ぶりに利上げを行ったので、市中銀行にとっても金利の引き上げは避けられず、今回の住宅ローンもその影響をもろに受けたものである。
更に厳しい値上げは、手紙を書く人にとって郵便料金の値上げである。日本郵便は郵政省の下から郵政民営化の流れの中で、日本郵便㈱として半官半民の会社に生まれ変わったが、サービスは向上するどころか、低下するばかりである。数年前これまで郵便物は土曜日にも配達していたが、それを止めて土・日曜日と連休となり両日とも配達しなくなった。更に近在地への郵送はその翌日配達されていたが、今では2日を要する。郵便物の配達は、極力スピードが使命である。にも拘らず、配達のスピードは劣化し、そのうえ料金も大幅に上がる。現在手紙、ハガキを書く人が減りつつあるようだが、こう郵便のサービスが悪くなるようでは、手紙を書く人が一層減るのではないだろうか。通常のハガキ代は、63円から85円に上がったが、これは実に35%の値上げである。25g以下の定形郵便封書は84円から110円になった。これとて31%もの値上げとなる。拙著の郵送などに利用していたレターパックも値上げされた。こういうさほど日常生活に直結しない物価の値上げについては、メディアでもあまり大きく取り上げようとしない。幸か不幸か私は普段から比較的手紙を書くタイプで、毎月10通は郵便物を書いている。長い間にはかなり効いてくるのではないだろうか。手紙を書く庶民の気持ちを苦しませて、何のための「郵政民営化」だったのかと改めて問いたい。
国内のニュースも姦しい中で、海外でも相変わらず、ウクライナとパレスチナ・ガザ地区の戦闘が続いている。最近は、イスラエル軍によるガザ地区攻撃が世界中からより注視されている。イスラエル軍はガザ地区攻撃と同時に、隣国レバノンの首都ベイルートの南部郊外に本拠を置くイスラム系シーア派組織ヒズボラに対する空爆にも激しさを加え、このほどヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害するまでに至った。ヒズボラは当然のように報復すると語ったが、その後イスラエル軍の攻撃は更にエスカレートして、戦闘開始以来レバノン国内において1,600人以上が死亡した。イスラエルは、地上部隊をベイルートに進軍させて一般市民にまで危害が及ぼうとしている。
今や「中東のパリ」と呼ばれるベイルート市内まで戦火が忍び込んできた。1967年暮れにベイルートを訪れた時は、その3か月前に終わった第3次中東戦争「6日間戦争」の直後だったが、アラブ各地では戦後のすさんだ空気が淀んでいたが、「中東のパリ」ベイルートにはその戦争の退廃ムードはまったく感じられず、海岸には海水浴と日光浴を楽しむ市民たちの明るい光景が見られたものである。悲しいことに、今ではそんなのんびりしたムードは見られないのだろう。テレビの映像からは、ベイルートの市民生活が写し出されることがなく、残念ながら思い出に浸ることも出来ない。
いつも思うことであるが、まったく残虐な戦争なんてどうしてやるのだろう。