どうにも地球上の戦火はいつも止まない。中でも今世界中で懸念されているのは、ウクライナ戦争とパレスチナ・ガザ地区の戦闘である。その最中に今年の国連総会出席のため訪米中、アメリカのABCニュースにインタビューされたウクライナのゼレンスキー大統領が、意外にもロシアとの戦争が終結に近づいていると希望的な観測を語った。現状から推して現実にそうなるだろうとの確信は持てないが、大統領の言葉には、欧米諸国が支援を続けてくれるうちはロシアに負けることはないと、欧米に対して更なる支援を呼び掛けたように思う。国連総会には日本からも政権の余命幾ばくもない岸田首相も出席するが、これまで支援してきた岸田首相とゼレンスキー大統領は支援について現地で話し合ったようだ。
ほんの曙光が見えた程度のウクライナ戦線に比べて、パレスチナ・ガザ地区に対するイスラエル軍の攻撃は相変わらず激しさを加えている。特に、最近レバノンに拠点を置くイスラム系シーア派組織ヒズボラへの空爆が激しく、昨日はレバノン国内の1,600か所に対するイスラエル空軍の攻撃により死者約5百名、負傷者1千7百名を生んだ。イスラエルは今後もハマスと連携しているヒズボラを攻撃し続けると話し、戦争の軍事作戦の重点はガザ地区からレバノンに移りつつある。アメリカがイスラエルを支援し続けている限り、この戦いに終結のメドは立たない。
幸い油断ならないことではあるが、日本国内には、現時点では戦争は起きていない。しかし、自然界の猛烈な攻撃を受け、とりわけ石川県能登半島への自然災害が激しく、今年元旦に大地震の勃発により多くのインフラが破壊され、多くの災害をもたらし、その復旧に当たっている最中に、またもや一昨日豪雨に襲われ、この2つの大災害で今年に入ってから能登半島は散々な目に遭っている。テレビ画像で観る限り、河川は決壊し濁流となって道路に溢れ、道路や住宅地は洪水で溢れ、家屋は浸水で傾き、その復興には今後かなりの時間がかかるであろうと思われる。
二瓶泰雄・東京理科大学教授は、これほど被害が拡大したのには3つの要因が考えられるとして以下3つの要因を挙げている。
1)その第1は「地形」である。能登半島の河川は長さが短いうえに、山があり急勾配であるため、上流で降った雨が一気に下流に流れて水位が上昇し易く、河川が決壊する。
2)2つ目は「想定外の雨」である。護岸設計で用いられた「計画雨量」の2倍を上回る雨が降った箇所がいくつかあった。
3)3番目は「地震の影響」である。元日の能登地震によって壊れた護岸が、仮復旧のままだったことによる。
地形が他の地域に比べて自然災害に対して弱点を抱え、想定以上の雨量が一度に降ったことが災害を大きくした。
やはり日本は地震大国で自然災害が多いにも拘わらず、相変わらず自然への対応策が弱いことを改めて証明した。実は、昨日の立憲民主党代表選をテレビで観ていて、候補者4人が冒頭の演説で揃って今回の能登半島の豪雨にお見舞いの言葉を述べていた。だが、抜本的な防止対策については誰も語らなかった。その点では、自民党総裁選候補者は自然災害に備えて新たに防災省の設置を提案していた。これだけ自然災害に襲われるようになったら、国家単位で防災策を講じることは、最早待ったなしであろう。