6053.2024年3月18日(月) プーチン大統領、疑問符の付く「歴史的大勝」

 15日から3日間行われたロシア大統領選挙の投開票が終わった。最初はどうして投開票のために3日間も費やすのかと首を傾げていたが、考えてみるとロシアの国土は広大で、バルト海に面した飛び地カリーニングラードからカムチャツカ半島東端まで、実に11の時間帯があるので10時間の時差があり、どうしても1日や2日ですべての作業を終えることが出来ないからである。

 投票結果は、予想されていた通りプーチン大統領のいわくつきの圧勝だった。単にプーチン氏の強権的独裁をPRしただけで、はっきり言って事前に反プーチン行動を抑圧し、有力な反プーチン派候補者には立候補を認めず排除し、投票でもプーチンへの1票を押し付けるなど、勝負は最初から分かっていた。とても開かれた民主的選挙と言えるものではなく、形だけの選挙である。国民からの信頼と委託を投票に具現化する選挙とは程遠い。総選挙を行わずに独裁的権力を行使している中国の習近平・国家主席や、北朝鮮の金正恩・朝鮮共産党総書記と何ら変わらないままトップの座に君臨するようなものである。この2人の独裁者から早速祝電が届いたそうであるが、同じように独裁的権力で国家を抑え込んでいる2人と相通じるものがあるのだろう。時代錯誤も甚だしい。

 投票への呼びかけも威嚇的で、大学構内で大学当局から学生たちに投票するよう圧力をかけたり、ウクライナ東部のドネツク州など4州のロシア占領地区では、武器を持った関係者が全住民の家庭を訪問して投票を強要した押し付けがましい選挙民への投票要請については、国連加盟国50か国以上が、一斉に非難する共同声明を発表したほどである。

 何を考えているのか、プーチン側は選挙で圧勝して、絶対的な勝利で信頼と権力を得たと誇示することによって引き続き思うがままに政治、経済、外交面で行動する存在感をアピールしようとしているのだ。結果的に開票率98%時点で、プーチン氏の得票率は世界でもあまり例のない87.34%で文句のない?圧勝だった。

 プーチン氏が再びロシア大統領に選出されたことにより、今後2030年までその地位に就くことになる。任期切れの30年に再び当選すれば、更に6年間思うままに権力を揮える。取り敢えず在位30年となり、旧ソ連時代に殺人鬼と言われた独裁者スターリンの在位25年を超えて最長の在任期間になる。偶々今晩NHK「映像の世紀」で1千年間自由のない国ロシアと殺人鬼スターリンについて放映していた。人騒がせで利己的な独裁者プーチンがこれからもロシア大統領として居座ることによって、世界は益々暗く偏屈なものとなる。

 さて、昨日セルビアにいる友人から次のような情報を知らせてくれた。20年前の昨日、コソボでロシアの友好国セルビアを糾弾する暴動が起きた。これがきっかけとなりコソボではセルビア製品の輸入禁止、今年2月からはコソボ地域でのセルビア通貨の使用禁止により年金や給与が受け取れなくなったり、それらがエスカレートして数日前からロシアを中心に使用されているキリル文字の使用禁止などが、日常生活に影響を与えているという。そもそも暴動の原因となったのは、アルバニア人の3人の子どもが川で溺死した事件である。コソボ人男性が地元のメディアに、3人はセルビア人に追われて逃げる途中に川に落ちたというフェイク情報がきっかけで、コソボ全域で暴動が起こり、セルビア人襲撃とか、正教会聖堂の焼き討ちなどの民族浄化が行われたということである。

 これはロシア大統領選とは直接関係ないが、旧ユーゴスラビアから独立した国家間で複雑な民族間対立があり、そこへロシアが入り込み、ロシアと友好的なセルビアとそうではない国々の間に対立感情が堪っているからである。ことの良し悪しは別にしてもロシアが絡むとどうも嫌な事件ばかり浮かび上がって来る。

2024年3月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com