6130.2024年2月24日(土) ウクライナ戦線とプーチンの狡猾な思惑

 早いものでロシア軍がウクライナへ侵攻し本格的な戦闘状態に入ってから、今日でまる2年になった。この先の停戦の曙光は一向に見えない。ロシアはプーチン大統領が国内で独裁体制を固めるため、権力を行使して大統領選の圧勝を狡猾に画策している。来る3月15日から3日間行われる大統領選では、反プーチン体制派の有力候補者を排除してプーチンの代わりはいないとの印象を国民に訴えようとしている。気の毒にも反体制派指導者のナワリヌイ氏は殺害され、ナジェージュジン氏の立候補を受け付けられず、知名度が低く必ずしも反プーチンではない候補者の立候補を受け付けている有様である。民主主義の原則である自由選挙が形を成していない。それが覇権国家ロシアの実態である。

 戦局はここへ来てロシア軍の勢いが増し、先日ウクライナ軍は東部アウディイフカから撤退の憂き目を見ている。ウクライナは欧米からの支援がなければ苦境に陥る。昨日テレビで、ウクライナのゼレンスキー大統領の側近であるポドリャク大統領顧問が、テレビ朝日大越MCに現状を語っていたが、ロシア軍は毎日1万2千発の砲弾を撃っているが、ウクライナ軍はせいぜい1千5百から3千発である。驚くのは、ロシアがあの経済的不況で国民が困窮している北朝鮮から120万発もの砲弾を受け取っていることである。この他にロシアは、イランからドローンなどを供与されている。

 他方、ウクライナ軍は、これまで欧米各国から軍事支援を得ていたが、このところそれも滞りEUから届く筈だった1年間の砲弾が、半分程度しか届いていないという。ポドリャク顧問によれば、ウクライナはウクライナなりに、1)砲弾生産に自国の投資、2)ヨーロッパ・パートナーとの砲弾共同生産、3)自爆ドローンの活用、を検討し、更に長距離ミサイルの必要性も考えているという。

 基本的には、最大の支援国アメリカの協力が必要であり、現在内向き志向のアメリカの世論とアメリカ第一主義を掲げるトランプ前大統領の影響力が気がかりと危惧されている。それでもポドリャク顧問は、こんな言い方もした。仮にアメリカがウクライナに610億㌦を支援したら、その資金はアメリカ国内の兵器生産に使われ、資金の9割がアメリカ国内の経済に残るとの説明である。しかし、長引く戦争、しかも国内が徐々にロシア軍によって破壊されていく中で、戦争拒否反応が強まってきた。国民の勝利期待度も昨年7月の71%から今月には42%にまで低下した。去る8日にウクライナ軍総司令官を更迭したゼレンスキー大統領支持率も2022年12月の84%から、1年後には62%にまで下落した。政府への信頼度は一層落ち込み、52%から26%へ大幅に落ちている。

 懸念されるのは、プーチン大統領がこのまま優位な戦争を続ければ、プーチンのような世界の独裁的な指導者たちが、理想としている独裁政治に自信を抱いてしまうことである。そうなれば、世界で日本を含む民主主義国家と独裁国家との分断が強まる可能性がある。今や民主主義政治の真価を問われているとも言える。

2024年2月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com