6128.2024年2月22日(木) カスハラ防止法案と株価史上最高値

 ウクライナにせよ、パレスチナ・ガザ地区にせよ、戦斗解決への糸口が一向に見えず、手詰まり状態である。イスラエル軍がガザ地区最南部エジプト国境にあるラファへの軍事作戦を準備する中で、国連安保理事会が開かれた。ガザ地区における即時の人道的停戦を求める会議だったが、無念にもその決議案は否決されてしまった。15か国の内13か国は賛成の考えだったが、常任理事国のイギリスが棄権し、同じ常任理事国のアメリカが反対したために否決という結果になった。アメリカがガザに関する安保理事決議案で拒否権を発動させたのは、これで4回目である。決議案を提案したアルジェリアをはじめ、多くの国々から失望の声が聞こえている。いつもアメリカと対立するロシアと中国が、アメリカの対応を強く批判している。これでラファにおける即時停戦の機会は遠のいてしまった。

 さて、一昨日小池百合子・東京都知事が施政方針演説の中で「カスハラ防止法案」の策定の検討を表明した。このカタカナ4文字は何を表すのか、直ぐには分からなかった。カスタマー(顧客)ハラスメントの略だと知り、絶対的に「顧客には口答えできない」とか、「お客様は神様」みたいな間違った考えや、顧客の理不尽さや我がままが、近年商売上でも露骨に表れてきたのかとこうなってしまったビジネストークには失望している。東京都としても止むにやまれず法案を検討したようだが、すでに昨年10月に東京商工会議所、経済・労働団体、外部の有識者らの検討会でアイディアが出されているようだ。ただ、罰則などはなく理念条例が適当と考えられているようだ。

 現実に民間の商取引や、公務員との話の中で理不尽で過剰な要求をしたり、従業員への暴言や脅迫、サービスへの不当な言いがかりのような迷惑行為により、心的プレッシャーを感じる人が大勢いるらしい。

 顧客との商取引で多少の意見の相違や、食い違いからもめることはあり得るが、顧客が恫喝や脅しのような言動に及ぶことは自分の有利な立場を悪用したハラスメントと受け取られても止むを得ない。ただ、それが商取引の範囲内で許されるものであるか、また無理な要求を通すために脅しとしてプレッシャーをかけていないか、などその境目を超えた場合の弱い立場側に心理的な負担を与えることは充分あり得る。

 かつて、実際に営業活動に従事していたころに、他人にはとても勧められないが、自分なりに会得したクレーム解決法がある。常識的には認めてもらえないだろうし、法的場面では忌避されるようなやり方であるが、簡単に説明してみよう。

 それは、不本意な言いがかりであっても顧客から散々文句を言われた後に、表面的には堪えて「申し訳ありません」と言って頭を下げることである。相手がガミガミ言ったとしても、また同じ「申し訳ありません」を繰り返す。相手が「『申し訳ありません』ばかりではなく、何とか言え!」と興奮して譲歩の言葉を催促したら、また「申し訳ありません」と応える。このやり取りが繰り返され、その都度「申し訳ありません」と繰り返して頭を下げる。流石に相手も度々の「申し訳ありません」に閉口して「他に何とか言え!」と言ったら、また「申し訳ありません」と言う。文句を言われている間中応えは「申し訳ありません」だけである。最後には相手もこの言葉のやり取りにうんざりして「勝手にしろ!」と捨て台詞を残して去って行く。こういう筋書きである。土下座など多少の演技も必要であるが、これが長年の営業活動で身に付けた不本意、かつ効果的な近藤流苦情処理テクニックである。

 不条理な言いがかりのような苦情を真面目に働いている人にぶつけるなんてことは、まともな人間のやることではない。都知事のカスハラ防止法案で、久しぶりに昔の苦情処理場面を想い出した。

 ついては、夕方になってびっくりするようなニュースが伝えられた。日経平均株価が35年前のバブル期につけた史上最高値38,957円を破る39,068円を記録したのである。アメリカの半導体大手の好決算に引っ張られ、日本でも半導体関連銘柄に買い注文が集中したことが大きく影響したようだ。それにアベノミクスで日銀が大規模な金融緩和を開始し、それが今の円安に繋がり、輸出の好調と外国人投資家が日本株を購入したことが株価上昇に寄与したことが大きい。裏金問題で評判の芳しくない安倍政権の置き土産が、史上最高値の株価を記録するとは世の中も皮肉に出来ているものだ。

2024年2月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com