2338.2013年10月7日(月) 古代ギリシャ文学の碩学、故呉茂一先生の業績

 やはりアメリカの今年度暫定予算案が通過しないことにより大きな影響が表れている。議会では先週末の休みを返上して与野党が話し合いをしたようだが、未だ解決の見通しが立たず、株式市場では株価が値下がりするばかりである。日本の東京証券市場にもその影響が顕著に表れ、このところ連日日経平均株価が下がりっ放しである。自他ともに世界のリーダーと認めるアメリカらしからぬもたつきには、アメリカ市民からも厳しい批判の声が上がり、われわれにとっても些かうんざりである。

 さて、昨日台湾・高雄の大学の先生、泰田伊知朗氏から不意にメールをいただいた。2~3年前に氏が研究している古代ギリシャ文学の碩学、呉茂一先生について研究資料を調査したいので、呉先生の子息である忠士さんを紹介して欲しいとのお願いがあった。泰田氏は研究者であり、決して怪しげな人ではないと思い、高校の同級生・忠士さんにメールで連絡を取り、仲介してあげた。その後泰田氏は忠士さんに会い、呉先生に関係する資料を見せてもらい、論文を書き上げた。その論文をPDFで送信してくれた。それほど長文のものではないが、専門的で中々興味深い論文である。

 論文を読むと呉先生の研究成果とその奥深さ、そして人間関係の大きさがよく分る。呉先生はその当時まだ一般的ではなかった古代ギリシャ文学を専攻されたが、弟子のひとりに小田実がいる。小田は東大生当時辻堂の呉邸にも出入りしたそうで、まだ若いころ忠士さんも会ったことがあると言っていた。多くの著名な先輩、同僚、友人、弟子との交流にも触れている。有島武郎や斉藤茂吉との交流と友情は初めて知った。それにしても、親戚中が医者ばかりの環境の中で折角入学した東大医学部を中途で辞め、文学部に転部した大胆さ、思い切りの良さ、そしてそれが間違っていなかったことに感動というより爽快感を感じる。やはり何でもできる人は、何をやっても成功するんだなぁと感心した。何が文学への関心を呼び、特に古代ギリシャ文学という特殊なジャンルにターゲットを絞ったのか、興味を覚える。呉先生にはあまり旅行に興味があったようには思えず、古代ギリシャ人の生き方、哲学的な考えに興味を持たれたのではないかと考えている。

2013年10月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com