2340.2013年10月9日(水) 鉄道事業の難しいところ

 ふるさとテレビ恒例の月例セミナーが開かれた。今月はいつもの憲政記念館ではなく、衆議院第一議員会館地下会議室に場所を代えて行われた。八王子の近藤幸一さんがよくご存知の石原進・JR九州会長がスピーカーであり、近藤さんをお誘いして出かけた。大きな会議室に約160名の出席者がおられた。先日味噌をつけた「ななつ星」運行前のテストランで何本かの電柱と接触するお粗末な事件を起こしたが、さりげなく話を逸らしたのは、したたかな話術の為せる技であろう。

 国鉄分割民営化の歴史にさらっと触れ、その後JR九州の発展の様子と度々投入する新しいタイプの列車について説明された。聞いていて随分考えさせられた。

 1964年日本で東京オリンピック景気に沸いていた時、東海道新幹線が初めて運行された。その一方で旧国鉄はこの年初めて赤字決算に転落した。76年以降は国から毎年6千億円の補助金をいただきながら、1兆円の赤字を出していたという。驚いたのは、民営化がスタートした時、国鉄の長期債務額は25.4兆円に達していたということである。そして87年国鉄分割民営化によりJR九州が発足していた。

 民営化により地域に合った経営を行ったJR各社であるが、東日本、東海、西日本のように最初から採算が望める会社以外は、収益を上げるために苦心したようだ。漸くJR九州は平成24年度連結決算で120億円の営業利益を上げられるところまでこぎつけた。だが、それでも本業の鉄道業では相変わらず110億円の赤字で、それをリカヴァーしたのが、付帯事業収入だそうだ。鉄道業は儲からないのだ。そこで手を抜く不届き者が出てくるわけだ。JR北海道の醜態はまさに構造的な不況がもたらしたものだと言えよう。JR九州は今36社を有するグループ会社となっている。鉄道会社でありながら、鉄道以外の営業に尽力することはきっと不本意に違いない。しかし、企業として生きていくためには本意でなくてもそうせざるをえない。派手な新型豪華列車が脚光を浴びる中で、企業が発展するための真の営業形態をどうやって構築していくのか難しいところだ。

2013年10月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com