いよいよ伊勢志摩サミット開幕である。超多忙な各国の首脳にとっては慌ただしい今日と明日の2日間である。
昨夕の安倍・オバマ会談で安倍首相は、沖縄でアメリカ人軍属が日本人女性を殺戮した事件で、オバマ大統領に強く抗議をした。それに対して大統領は謝罪をし遺憾の意を表し再発防止を約束した。だが、肝心な日米地位協定の改定についてはゼロ回答だった。沖縄では各地で抗議が起き、県議会は今日事件発生に抗議するとともに、在沖縄米海兵隊の撤退を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。
さて、今日は安倍首相が伊勢神宮前の橋の袂で各首脳らを出迎えて伊勢神宮内宮を参拝した。神々しい環境は首脳らにとってどんな印象を与えただろうか。安倍首相、オバマ大統領、メルケル独首相、キャメロン英首相、オランド仏大統領、レンツィ伊首相、トルュドー・カナダ首相、トゥスクEU首脳会議常任議長、ユンケル欧州委員長らが勢ぞろいして見栄を切るところは中々のものであるが、今朝の朝日「天声人語」に書かれていたように、オバマ大統領の代わりに仮にトランプ氏が参加したらどうだろう。アメリカ国内の人気の言動が、もしもそのまま国際社会に持ち込まれたらと考えるとぞっとするとまでトランプ氏は忌み嫌われている。
短い時間の中で討議すべき問題は多い。一応世界経済や貿易の問題では、歩調を揃えることができた。ただし、安倍首相が現在の経済動向は2008年のリーマン・ショック前と同じでG7が協調して取り組むべきであると財政出動を訴えたようだが、財政的に安定しているドイツやイギリスが必ずしも同調せず、構造改革を優先すべきだと主張したようだ。
ヨーロッパにとって大きな問題はテロ、難民などの政治・社会問題で、ヨーロッパと日本では問題の捉え方に温度差が見られる。ヨーロッパ各国は難民をこれ以上受け入れる余裕がないと受け入れを拒否する傾向が表れて来た。一方で、日本は率先して東シナ海における中国の海洋進出問題をアメリカ、フィリピン、ベトナムらの声を受け入れて議題とした。大凡理解を示してもらったが、案の定中国が即座に反応して自分たちの行為は多くの国の支持を得ていると欺瞞的な持論で反論した。
さて、3日前の本ブログで首を傾げる飛び入り行動だと批判的に取り上げたが、フィリピンのバターン半島死の行進のアメリカ人捕虜やその家族で構成する「全米バターン・コレヒドール防衛兵記念協会」会員がオバマ大統領と広島へ同行する予定は中止と決まった。協会は不満たらたらであるが、ホワイトハウスも確約したわけではないと歯切れの悪い釈明をしている。こればかりはアメリカ側の早とちりだったと言わざるを得ない。しかし、この飛び入り計画は日本にとって今後に禍根を残す。中止となって良かったと思う。
それより何だかんだと中々決まらなかったが、漸く原爆被災者の内代表者4人が、オバマ大統領が原爆碑に献花する場に立ち会うことになったことは喜ばしいことだと考えている。