5698.2023年3月28日(火) 国際社会から敬遠、ミヤンマー国軍記念日

 ミヤンマーの民主派政権が、ミヤンマー国軍の軍事クーデターによって崩壊させられてから早くも2年余が経った。その後ミヤンマーは、ミンアウンフライン最高司令官が指揮する国軍の支配下に置かれ、民主派指導者のアウンサンスーチー元国家顧問ら国民民主同盟(NLD)幹部もほとんどが身柄拘束され軟禁状態に置かれている。

 そのミヤンマーで「国軍記念日」の昨日恒例の軍事パレードが行われた。そこで最高司令官は、スーチー氏らを支持する民主派を一方的にテロリストと決めつけ非難し、民主派への強硬姿勢を改めて強調した。ミンアウンフライン司令官は市民が抵抗することに対しても、テロリストが無実の市民を攻撃し始めたと自らの罪を一般市民に被せるような強弁を行った。

 そもそもイギリスの統治下にあったビルマが、宗主国だったイギリスへの抵抗手段として、日本軍に協力していた。しかし、その後自力による独立を目指したビルマは、日本軍に抵抗するようになり、1945年3月27日にビルマ国民軍が日本占領軍に対して一斉蜂起を開始した。「国軍記念日」とは、まさにその日である。日本人としても些か肩身の狭い日であるが、こともあろうにイギリスから独立を勝ち取ったビルマ国民軍の後継者である国軍が、総選挙で圧倒的な国民の支持を得て選出されたスーチー氏ら国民民主同盟(NLD)を国家の敵と追討しようとは、ミヤンマー国民の気持ちを理不尽にも踏みにじるものであり国際社会からは総スカンを食っている。軍事パレードには、中国、ロシア、インドなどが代表者を派遣していたが、日本、及び欧米など主要国の政治家は誰も訪れなかった。本来なら最も親しい国である日本が、ミヤンマー最大の軍事パレードに人材を派遣しなかったのは、これまでの両国関係からはとても考えられない。日本はミンアウンフライン政権に制裁を課してこれまで親しかった両国関係から一歩下がって、ミヤンマーが民主的な国家へ戻るのをひたすら待っているのだ。

 その後スーチー氏らNLD幹部らの行方は収監されたまま、その生活はまったく知られず、このクーデターの非民主的な残虐行為に対して、国際社会は厳しい経済的制裁を課し、ミヤンマー経済は苦境に追い込まれ国民は貧困に喘いでいる。

 私にとっては、これまで最も数多く訪れた国であり、最も愛着のある国のひとつであるミヤンマーが、厳しい経済下で多くの国民が貧しい生活を強いられていることは何とも言いようがないほど辛い。世界銀行の22年7月発表の報告書に依れば、ミヤンマー全人口の約4割が貧困ライン以下の暮らしを強いられているという。失業率も高まり、生活苦に喘ぐ階層の中にはつい自らの身体を売って生活している女性も多いという。

 今日のテレビ朝日「ワイドスクランブル」にゲストとして、昨年7月にミヤンマーで取材中に身柄を拘束され5か月間収監された後に解放された映像作家の久保田徹氏が出演して、生々しく実態を語っていたが、その中でウクライナへの支援は国際的にも拡大しているが、ミヤンマーにももっと支援をと訴えていたことが印象に残っている。

2023年3月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com