5694.2023年3月24日(金) 寂しい女子大閉学と東芝上場廃止

 暖かい陽気に誘われるように所用で銀行に出かけたが、我が家から東横線都立大学駅を越えて、ずっと先まで呑川緑道と呼ぶ桜並木が続いていて、今や盛りとばかり満開の花を咲かせている。カメラを手にした人たちが三々五々散策しているのも恒例の風景である。随分暖かいと思っていたら今日の都内の気温は、25℃を超えて今年初めての夏日ということである。庭の白梅も散って寂しくなったが、不思議にも昨日辺りから鶯が散った白梅の枝に留まって「ホーホケキョ」と囀っている。風情があるが、少し遅い。梅が咲いている時に飛んで来て欲しかったと身勝手なことを妄想している。

 さて、陽春を迎えようとしている時に、2つばかり寂しい話があり些か気になったので取り上げてみた。

 ひとつは、昨日奈良にいる孫が立命館大学卒業式に出席したと連絡があったが、今日も都内では東大安田講堂をはじめ、日本武道館では法政大学の卒業式が行われ、卒業シーズンも真っただ中である。ところが、女子大学の中には入学者が募集人員を大きく下回り、ついに来年度以降女子大学学生の募集を中止して、女子大学の経営から手を退く大学が現れてきた。いずれ卒業式が姿を消すことになる。東京では恵泉女学園大学が来年度から大学と大学院の新入生募集を中止し、すべての在学生が卒業した後に閉学するという。近年高校を卒業後大学へ進学する女子学生が年々増えてきた。ところが、18歳人口の減少や共学志向などで女子大入学者の定員割れが続いていた。つまり、社会的に大学へ進学する年代の学生数が漸減し、更に女子大よりも男女共学の大学へ進学する女子高生が多くなった。これには大学の立地も関わっていると思う。世田谷区に位置する恵泉女学園中高は、創立113年の名門女子校として知られているが、大学だけは多摩市内にあり、立地は都内とは言え、あまり都会的な空気が感じられない。その点で青春を謳歌したい女子大生には敬遠されたのではないかと思う。同じく2017年にすでに閉学した名門の東京女学館大学も、付属中・高校は130年の伝統があり、渋谷区広尾の高級住宅街にある。今も良家の子女が通う名門校であるが、都内町田市にあった大学は、市の中心部からかなり離れていた。この点は恵泉女学園と同じような環境だった。これからも同様のケースが出て来るであろう。女子大学にとって厳しい時代を迎えたところである。

 もうひとつの寂しい話題は、天下の名門・㈱東芝の株式市場の上場廃止が決まったことである。かつては日立製作所と並んでいた日本を代表する大企業の衰亡ぶりである。あまり詳しいことは分からないが、国内投資ファンドである日本産業パートナーズ(JIP)からの買収提案を受け入れることになったそうだ。家庭電化製品などで業界でも先陣を切っていた東芝が、このような窮地に追い込まれようとは思いも寄らないことだった。東芝のラグビー部は強く、知人も活躍していた。名門国立大を出て勢いのあるころ東芝へ入社した高校同級生は3人もいた。この凋落ぶりは、経営の失敗にあるとされているが、一時は栄耀栄華を極めていた企業がこうも落ちぶれるとは、身から出た錆もあるとは言え、浮き世の厳しさ、辛さと寂しさを感じる。もう手遅れであるが、いつも気持ちを詰めてまい進しないといけないと改めて教えられたような気がする。 

2023年3月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com