5640.2023年1月29日(日) 心に響かない無言の年賀状

 年賀状の時期はもう終わってしまった。朝日朝刊「声」欄に67歳の男性が年賀状について投稿していた。何十年も会っていない旧友からの賀状はうれしさも格別と言う。賀状によって相手の近況も知ることが出来ると楽しみにしている。この男性が気になることというのは、「無言の年賀状」と言い、表も裏もすべて印刷で手書きの一言もないというのである。確かに私もその種の年賀状を受け取るが、同じ印象を持つ。最近手紙を書かない人が増えているようだが、それでも年賀状は書いているという人は多い。その年賀状に気持ちが籠っていないことをこの男性は嘆いている。

 振り返って自分自身年賀状の文面は、パソコンを使いプリンターで印刷するが、表の宛名は決まって万年筆を使って書く。これは長年の習慣となっている。PCが今のように普及していなかったころは、印刷屋にお願いした。それ以前は、版画で文章面を作製していた。だが、宛名面はずっと手書きだった。今年も約400枚程度の年賀状を送付したが、送り先の宛名だけは万年筆で書いた。男性の気持ちはよく分かる。心の通い合いが感じられないのだと思う。

 私が年賀状を書き始めたのは、小学校5年生の時だった。その秋に転入した千葉市立幕張小学校の担任教師が、熱心に版画の彫り方を教えてくれ、手紙の書き方まで丁寧に指導してくれた。そのうえ、手紙を書く時の心構えのようなことや、どうしてお正月に年賀状を書くのかなどについて、恩師は情熱を込めて教えてくれた。当時でも少なかったと思うが、今手紙の書き方などを教えてくれる学校はそうはないと思う。その時以来必要なら手紙を書くことは当たり前と思い、割合マメに手紙を書いているし、年賀状は出来るだけ相手に自分の現状が分かってもらえるようなつもりで書いている。その点では、とても良い恩師に恵まれたと思っている。この男性が嘆いたのは、年賀状を受け取っても、手書きの文字がひとつもないような年賀状では感情が汲み取れないからだと思う。男性は、皮肉を交えて「何十年も続く、年に1度の『無言』」と言っている。

 さて、ロシアのなり上がったような言動でしばしば非難を浴びているウクライナへの侵攻に、一向に明るい兆しが見えない中で、欧米各国はウクライナへ兵器を供与してウクライナを支援している。それがロシアと対等に近い戦いとなっている。ヨーロッパでは各国首脳がキーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談している。G7首脳の中でウクライナを訪問していないのは、アメリカのバイデン大統領と日本の岸田首相だけである。訪問して、ゼレンスキー大統領と会談しているシーンが世界へ拡散されることが、大きな国際的メッセージとなる。バイデン氏の代わりに、アメリカからはブリンケン国務長官、ペロシ前下院議長が訪れているが、日本からはそんな話も聞かない。5月にG7首脳会談を行う前に、議長を務める岸田首相がウクライナ訪問を検討していると報じられた。ところが、紛争地の要人警護は難しく、これまでにもかなり要人がテロ集団から狙われた例がある。今政府では、どうすべきが検討中ということであるが、警護は警護として、一国の首相たるものは必要と思うなら訪れるべきであろう。

2023年1月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com