近年新聞や本を読まず、テレビもあまり見ず、情報は主にネットから入手している人が多いと聞く。そのためにまず書店の経営が思わしくなくなり、書店と出版社が店じまいをするところが多くなった。また、新聞購読者数も大きく減り、新聞社の経営上厳しい時代を迎えている。そんな折昨日の朝日朝刊で、長い歴史を誇る「週刊朝日」が今年5月の最終週に発行される6月9日号を以て休刊することになったと知った。定期購読しているわけではないが、トピックによっては購入して目を通して参考にしたことが幾度もあった。かつて同週刊誌は、1950年代には100万部を超える発行数を誇ったが、その後年々発行数は減少し、昨年12月にはついに7万部となってしまった。新聞同様に週刊誌市場も縮小しているようで、実に寂しい限りである。「週刊文春」や「週刊新潮」のように個人のスキャンダルを暴いては、世間に話題を振りまき、スキャンダルの標的である有名人は逃げ回っていた節もあるが、それらの人気週刊誌類もなくなるのだろうか。新聞社が発行する週刊誌は比較的良心的で、堅い話題が多く、時に参考にさせてもらっていたが、「週刊朝日」は「廃刊」ではなく、あくまで「休刊」であり、近い将来に復活することはあり得る。その折には、再び書店で手に取って見られることを希望している。
さて、2024年度から国立大学の東京工業大学と東京医科歯科大学が合体して、その名称を「東京科学大学」とすることに決まり、昨日公表された。いずれも理系の超難関大学として知られている。当初は、この他に一橋大学と東京外国語大学も一緒になって4つの文科系、理科系で構成される大学となり、東大とレベルも規模も同クラスの国立大学を目指し、ゆくゆくはイギリスのオックスフォードとケンブリッジ大学のようにお互いに競合する秀逸な総合大学を目指す予定だったようだ。そのきっかけは、世界の大学評価で、日本の大学の地位がやや低く、国際競争力の強化を狙い、大学ファンドで支援する制度を創設し、2つの大学は統合によって研究力を強化することを目指したいと文部科学省は考えている。
国立大学同士の統合は、東京商船大学と東京水産大学が一体となって東京海洋大学として再出発した例があり、今世紀に入ってからは2007年に大阪外国語大学を大阪大学が吸収する形で新大阪大学がスタートした例がある。
国が大学の進化、発展を期待するのは良いが、問題は主役である在学生が大学生らしく向上心と研究心を怠らず、1人の社会人として社会をしっかり監視し、関わっていく姿勢を保ち続けることではないかと思う。その意味では、象牙の塔に入り浸ってばかりいないで、社会に参画する気持ちを失わないで欲しいと思う。前段の新聞や書物の販売数が落ちたのには、学生たちがそれらを読まなくなったことも原因としては考えられるのではないかと思う。
「東京科学大学」、大いに結構。10年後の姿を見てみたいものである。