5508.2022年9月19日(月) エリザベス英女王の国葬

 今日は敬老の日であるが、その敬老の日にイギリスでは去る8日96歳の天寿を全うされたエリザベス女王の国葬が行われた。日本より8時間遅れの時差のため、夜テレビで生中継された国葬をゆっくり観ることが出来た。世界各国から多くの国家元首や王室関係者が参列されていたが、イギリスとの外交関係がなかったり、友好的でない国へは招待状が送られていない。英王室と長い交流がある日本の皇室から天皇・皇后両陛下が列席されたが、テレビはイギリスのBBC独占放送によるものだったため、両陛下のお姿が特別に画面に現れることはなかった。

 ところで、招待されていない国は、ウクライナ侵攻の主役であるロシアとそれを支持するベラルーシ、クーデターで軍人が政権を奪取したミヤンマー、シリア、ベネズエラ、アフガニスタンである。国葬が行われたウェストミンスター寺院には、列席者が入り切れず、1国からは招待者と連れ合いの1組しか参列出来ない。珍しいことに国を代表する元首や首脳が国葬の場まで移動する手段として、英王室はシャトルバスを利用するよう勧めている。天皇・皇后もこれを利用したようだ。専用車で移動するのは、バイデン米大統領夫妻とイスラエルのヘルツォーク大統領の他に数人と言われている。トルコのエルドアン大統領なぞは、専用車での移動を申し入れたが、断られて出席を断念し、代わりに外相が出席するという。

 国民から敬愛された女王に最後のお別れをしたいと沿道には、多くの人が群れを成していた。国葬の場では、やはり厳かな空気が流れていた。ただ、イギリスの宗教はイギリス国教であり、カンタベリー大僧院の大主教が司祭を務めた。そのせいか欧米の葬儀で普遍的に見聞される讃美歌合唱や、胸元で十字を切るジェスチャーは見られなかった。

 エリザベス女王に対するイギリス国民、及び世界中の人びとからの敬愛の念は想像以上に強く、亡くなられてから弔意を示すために棺をお参りする人々の長い列は、ロンドン市内で延々16㎞に及んだという。ただ、王室にとっては、一時国王チャールス3世が皇太子時代にとかくの好ましからざる言動によって国民の反発が強まった時があった。今日曲がりなりにもチャールス3世を新国王として受け入れるようになったのは、女王のチャールズ皇太子を後継者にとの強い気持ちと、周囲に彼が国王として相応しいとの根回しを行った温かい思いやりがあったからだと思う。

 日本国内ではこの数日巨大台風14号の襲来に天候が脅かされていたが、普段は天候があまりすっきりしないロンドンの空に太陽が現れたのは、女王の御威光ではないだろうか。

 国葬が終わってホットしているイギリス王室にとって、この後オーストラリアのように英連邦の立憲君主制をこのまま維持すべきかとの議論の観察と、恒例通りチャールス国王の戴冠式を行わなければならない。前例からして、恐らく戴冠式は来年実施されることだろうが、どんな戴冠式になるだろうか。1953年に行われた女王戴冠式は、その映画も観てよく覚えている。とかくの噂のあるチャールス国王であるが、最近国民の人気と評価も少し上がってきたという。誰もが唸るようなチャールス国王ならではの戴冠式をやって、国民を納得させて欲しいものである。

2022年9月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com