5472.2022年8月14日(日) 戦時報道とNHKの恣意的報道

 明日の終戦記念日を控えて、テレビ各局は太平洋戦争について様々なドキュメンタリー番組を放映している。昨晩NHKで過去のドキュメンタリーの内人気の高かった番組を再放映していた。戦争の優劣を分けたと言われる1942年ミッドウェイ海戦の日本軍の惨敗に視点を当てていた。開戦2年目で日本が太平洋とアジア戦線に進軍を続けていた当時の壊滅的打撃について取り上げた番組である。この戦闘で日本海軍はどん底に突き落とされたが、当時大本営では、その事実を国民にどう伝えるか、内部で対立があり異論があった。結局国民の戦意を削がないとの理由をつけて、敗戦の事実をひた隠しにして戦果を誇大に発表したのだ。

 今日午後TBSでも「戦争と嘘=フェイク」と題して、ロシア最大の嘘を暴く、原爆隠された真実、そして太平洋戦争のフェイクと称して昨晩と同じミッドウェイ海戦惨敗の隠蔽、などについて放映していた。昨年までにもこの種のドキュメンタリーはあったと思うが、今年になって立て続けに軍事作戦隠蔽を取り上げたのは、何ごとかを意図した恣意的なアピールがあるような気がしてならない。戦時中国民に対する大本営の真実隠蔽作戦は、戦果を6倍にし、戦禍を1/5にして報告し、公表したと言われている。しかし、騙された国民の意気は喪失することなく、一層国民の気持ちを戦地へ向けた。大本営は戦力とはそぐわない偽装報道に一層力を入れることになった。軍部の偽装も酷いが、これに同調した報道機関の軍部べったりとも言える偽装工作報道も些か良識を欠いている。当然メディアも責任を伴うことになる。

 メディアが報道の倫理感に基づいて報道しようとするのを当局が許さないのは、当時の軍部の絶対体制から考えれば理解出来ないこともないが、メディアにもメディアの本旨と立場を考えれば、間違った事実を報道するのは、容認出来ることではない。況してや軍部の言い分をすべて鵜呑みにするようなことは、許されることではない。

 ところが、いま世間で批判を浴びている旧統一教会の悪しき慣習について、NHKが通り一遍のニュースは伝えるが、民放のように掘り下げた報道をしていないとの批判的な声が広範に出ている。NHKが旧統一教会と政治の闇の関係を知っていながら、岸田政権への忖度で報道するのをセーブしていると非難の声が高まっている。最近の各民放の報道によれば、献金、霊感商法、自民党議員と教会の密接な関係、昨日韓国で行われた教会創設者・文鮮明会長の没後10年記念式典で、映像による安倍元首相への高い評価などは、教会と自民党との後ろめたい関係が強いことを伺わせる。これをNHKだけが報道しないという不条理に、視聴者無視ではないかとクレームをつけたい。明らかに自民党がNHKに対して圧力をかけていることを想像させるものだ。戦時中の軍部による偽装報道とは別だが、言論統制、抑圧と相似している。

 亡くなった安倍元首相が率いていた安倍派には、35人もの衆参議員が旧統一教会と、イベントに参加したり、講演したり、会費を支払ったり、またほとんどが選挙の際支援を受けていた。安倍派は最大派閥であり、取材上政治的な圧力がかけられたり、またNHK記者が彼らに気を遣ったことは間違いない。そして民放テレビを通してしばしば観る安倍元首相の旧統一教会における式典への関わり方の報道を見れば、NHK記者が自民党、旧統一教会取材にしり込みして十分な取材をしていないことも明らかである。それは、前田晃伸NHK会長が、記者になって何年かしたら営業など他の部署を経験させるという発言が、NHK記者に思いも寄らぬ圧力となっていた可能性もある。

 NHKが現状のまま、視聴者が知りたい話題を取材せず、報道しないとしたら、公共放送であるNHK番組を観る視聴者はどんどん減って行くことだろう。図らずも表面化した公共放送のNHKの弱点が、視聴者の声によって今後真面な報道機関として立ち直れるかどうか、注目したいと思う。

2022年8月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com