5451.2022年7月24日(日) オリンピックは、レガシーと言えるか?

 昨日で東京オリンピックが開催されてからちょうど1年が経過した。実に早いものだと思う。先日大会の収支が公表されて、組織委員会も解散した。過去には前例がなかったようなコロナ禍で開催が1年延期される予想外のハプニングもあった。元々開催自体は収支上は赤字が想定されていたが、それを大きくしたのは、大会経費総額が1億4千億円と当初予算7,340億円のほぼ2倍となった杜撰さがあった。もちろん会場の入場者がいなかったために、入場料を徴取することがなかったことは大きい。しかし、今2030年札幌冬季オリンピック招致の話が持ち上がっているが、東京大会を総合的に精査すべきであると思う。仮に札幌冬季大会を招致した場合、かなりの大会運営費がかかりそうで、必ずしも札幌市民から全面的な賛同を得られていない。

 オリンピックのような大きなイベントは、どうしても財政的な裏付けがないとその開催は難しい。一部にはレガシーなんて言葉を使って、恰も存在することが名誉なことを言う有識者もいるが、巨額の資金を投じて立派な施設を建設しても、大会終了後に何にも使用されず、いずれ朽ち果てる運命を辿る一方で膨大な維持管理費がかかる。大会に使用された競技場施設はほとんど「負の遺産化」を避けられない。新設された国立競技場にしても、かなりイベントなどに使用されるが、年間24億円もの維持管理費用がかかる。他の新設施設にしても賃貸したところでとても賄える収入は得られない。

 今こうしたハード面での経費が問題となっているが、一番無駄なことはすでに使用可能な施設がありながら、新しい施設が建設されることである。典型的な無駄な例として、大井ホッケー競技場が挙げられる。わが自宅の近くに駒澤オリンピック記念公園があり、前東京大会で使用された施設がかなり残されている。中でもホッケー場は数年前に改築され、スタンドは狭いが立派な施設に生まれ変わった。しかし、組織委員会はこの施設を使用しなかった。更に前回日本中を沸かせ優勝した女子バレーチームが戦った屋内競技場が、施設はそのまま保存され、各種の大会が行われているのに、今オリンピック大会ではまったく使用されなかったことである。

 これには大会スポンサーとなった建設会社へ見返りとして施設の新規建設を任せたということがあると思う。これでは、いくら東京都が財政的に多少余裕があっても赤字額を負担させられるのは、都民としては納得できない。2つの東京大会や過去の札幌、長野冬季大会の赤字額を負担するのは地元自治体としては、厳しいことだと思う。現存の競技施設を再利用して経費の負担を削減することをどうして考えないのか。これではビッグイベント開催は、地元住民にとって重い負担になるだけだと思う。

 また、別の意味でオリンピック後にレガシーどころか、スポーツ種目によってはヨットや自転車競技のように、スポンサーが離れて協会も選手に強化のための用具代や遠征交通費など費用が工面出来ず、選手の個人的負担になっている例も多いという。これも負の遺産と言えるのではないだろうか。

2022年7月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com