5439.2022年7月12日(火) 安倍元首相葬儀と新興宗教

 3日前に凶弾に倒れて亡くなった安倍晋三・元首相に、最高位の勲章である大勲位菊花章頸飾と、大勲位菊花大綬章が授与されることが決まった。戦後、大勲位菊花章頸飾を受章したのは、吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘・元首相らに続いて4人目である。

 今日安倍元首相の葬儀が、港区芝の増上寺で行われた。増上寺には午前中から献花に訪れる人の長い行列が続き、午後1時には人が溢れて一般の人びとからの献花が中止になるほどだった。増上寺から霊柩車が立ち寄ると見られた千代田区内の自民党本部、首相官邸、国会議事堂を結ぶ路上では、大勢の人びとが元首相を見送った。実際テレビで観る限りでも随分大勢の人が別れを惜しんでいる様子が見えた。

 安倍元首相の客死は誰もが予想もしなかったことであるが、テレビの評論家によるコメントの他に、一般人の安倍氏への思いや評価は、想像を遥かに超えるほど好意的なものだった。事実、殺害の現場、奈良市内の近鉄線大和西大寺駅前の現場の供花台にも長蛇の列が作られている光景を観ると、生前の安倍氏に対する印象とは随分違うものだと思う。もちろん死者に鞭打つ気はないが、一般国民は元首相に対して随分好意的だと感じている。確かに見た感じでは、お育ちの良さもあり優しそうで、温かいイメージがある。しかし、長い首相在任の割には、これという政治的に大きな実績は残していないし、アベノミクスのように自分を売り込むことに熱心だった。むしろ晩年は、森友学園、加計学園の不明瞭な資金問題や、「桜を見る会」の税金私物化などの不祥事は、安倍元首相自身に自ら実態を明らかにしようとの気持ちが見られず、不明瞭なままになってしまっている。私自身も各国首脳とのうわべの個人的友好関係は佳しとしても、安倍元首相の右翼的で、やや強引な政治力には不満を感じていた。

 ついては、安倍氏を殺害した容疑者は、母親が宗教法人・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に入れあげて家計が崩壊して破産宣告を受けたことで、その宗教法人と関係のある安倍元首相を殺害しようと考えたと述べたことから、捜査当局は宗教法人から事情聴取している。昨日その代表が記者会見を行った。霊感商法が問題になり、裁判沙汰になったこともある宗教法人の闇のように不明瞭なものは、代表者の会見だけでは明らかにはならなかった。それにしても今改めて元首相が暗殺される事態に、政治とは関係のない宗教団体が取り沙汰されるのは、極めて珍しい。現実には、世界平和統一家庭連合の友好団体である国際NGO・宇宙平和連合(UPF)が主催したイベントに、在職中の安倍首相がビデオ・メッセージで祝意を表したことから、元首相と関係があると受け取られたようだ。これから不透明な点が見られる宗教法人については、事件の捜査が進む過程で徐々に明らかにされていくことだろう。

 ついては、私も時々知人や未知の人からも著書をご恵贈いただくことがあるが、一昨年ある友人からこの旧統一教会関係の書物をいただいていた。興味がなく積読状態だったが、今日少し気になったので、改めて見てみると、正に今話題に取り上げられている世界平和統一家庭連合の創設者文鮮明氏の3番目の妻・韓鶴子総裁が著した「自叙伝・平和の母~人類の涙をぬぐう~」なる立派な著書である。これまで手元に持ってはいたが、読む気持ちがないのでそのままにしていた。とても新興宗教の信者になぞなる気はないが、後学のためにいつか気が向いたら読んでみようかなとも思っている。

2022年7月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com